消防設備を設置した後の届出と消防検査を受ける義務についての法的根拠【検査は282号通知を基に実施】

消防設備を設置した後の届出と消防検査を受ける義務についての法的根拠【検査は282号通知を基に実施】

どのような根拠で届出と消防検査が必要になるか?

消防設備を設置したときは、総務省令で定めることにより消防庁または消防署長に届出て検査を受けなければならないという決まりになっています。この決まりは「消防法第17条の3の2」に記載されており、守らなければならない義務となっています。消防法は国会で定められたものであり、法の内容を改正することが容易ではないため、細かい事項についての決まりは「総務省令」で定めるということになっています。

第十七条第一項の防火対象物のうち特定防火対象物その他の政令で定めるものの関係者は、同項の政令若しくはこれに基づく命令若しくは同条第二項の規定に基づく条例で定める技術上の基準(第十七条の二の五第一項前段又は前条第一項前段に規定する場合には、それぞれ第十七条の二の五第一項後段又は前条第一項後段の規定により適用されることとなる技術上の基準とする。以下「設備等技術基準」という。)又は設備等設置維持計画に従つて設置しなければならない消防用設備等又は特殊消防用設備等(政令で定めるものを除く。)を設置したときは、総務省令で定めるところにより、その旨を消防長又は消防署長に届け出て、検査を受けなければならない。
e-gov:消防法17条の3の2

消防法17条の3の2に書いてあること
消防法による義務

 消防庁または消防署所長に届出を行い検査を受けなければならない。
 細かい内容は総務省令による基準で行ってくださいね!

消防法により「届出」と「消防検査」を受なければ行けないということは分かったと思います。次にその内容については「総務省令」によって定めるということになります。総務省令とは総務大臣が発する命令のことで消防法令に当てはめると「消防法施行規則」が該当します。いろいろな呼び方がありややこしいですが「省令=消防法施行規則=総務大臣命令」と理解すればよいかと思います。

「総務省令で定める」の内容について

では、消防法によってい委任された「総務省令によって定める」とは何かというと、「消防設備の工事が完了したら4日内に消防庁または消防署長に別記様式第1号の2の3の届出書によって届出なければならない」と書かれています。(わかりやすくするために一部を削いでいます。)

総務省令に定められている内容とは「工事完了4日以内に指定の届出書によって届出を行う」ということになります。

 法第十七条の三の二の規定による検査を受けようとする防火対象物の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置に係る工事が完了した場合において、その旨を工事が完了した日から四日以内に消防長又は消防署長に別記様式第一号の二の三の届出書に、次の各号に掲げる区分に応じて、当該各号に定める書類を添えて届け出なければならない。
e-gov:消防法施行規則第31条の3

ここまで消防法と消防施行規則(総務省令)について見てきました。これらをまとめると以下のようになります。

消防設備を設置したらすべき法的義務
消防法  届出を行い検査を受けなければならない 内容は総務省令で定める
消防法施行規則(総務省令)  工事完了から4日以内に
 様式第1号の2の3の届出書によって届出を行う

 ココまでが消防設備を設置したら完了から4日以内に指定の様式を使用して届出を行いそして、検査を受けなければならない根拠となります。指定の様式「第1号の2の3の届出書」とは、届出の頭紙(表紙)のことで、表紙に加え必要な書類 (試験結果、図面、配線、配管の系統図など) を添えて届出を行います。

必要な書類の中にある試験結果はどのようなものかと言うと「消防法施行規則第31条の3-5項」に定義されています。条分を引用します。

 第一項第一号の規定による消防用設備等試験結果報告書の様式は、消防用設備等ごとに消防庁長官が定める。
e-gov:消防法施行規則第31条の3-5項

試験結果報告書の様式は消防設備ごとに「消防庁長官が定める」と記載されています。ココでも細かい内容については省令(消防法施行規則、大臣命令)から消防庁長官へ委任されています。様式は設備の技術や時代背景によって変更していく必要があるため、大臣命令で変更するよりも消防庁長官の権限で変更するほうが容易かつ効率的なためこのような委任という形で権限を移譲しています。

試験結果の様式は消防庁長官が定める

試験結果の様式は消防庁長官が定めた「消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件 (平成元年告示4号)」により記載、周知されています。この告示4号で定められている様式に沿って我々消防設備業者は設置工事した消防設備の種類に応じて、決められた様式通りの各種試験を行い、消防庁や消防署長に届出を行わなければなりません。

そして、この告示4号が平成14年3月に一部改正されたことにより、各種消防設備の試験については「282号通知」を基に運用するという流れになっています。このように282号通知を基にした根拠を遡ってみると消防法17条の3の2までつながっていることがわかります。

あとがき

以上のように、今回ここに書いたことが届出や検査が必要になる法的根拠となります。消防設備を設置したら必ず届出と検査は受けなければなりませんので皆様ご注意お願いいたします。

参考記事:消防機関による立入検査・査察・公表
    :消防法令違反における罰則について
    :消防法とは?消防関係法令の構造を解説

 

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