火災受信機を2台以上設置する場合について【火災受信機の接続方法】

火災受信機を2台以上設置する場合について【火災受信機の接続方法】

時には火災受信機を防火対象物に2台以上設置することがあります。この場合では各々の火災受信機間を結ぶ通話装置を設け、いずれの受信機から地区音響装置を確実に鳴らせることが求められます。

あまり想像つかないと思いますが受信機が2台以上設置されるケースは以下のような場合に起こります。

例えば、はじめに建物が立っており、増築をしたが既存の火災受信機に警戒できる空き回線がなかった場合です。このような時は、増築部分に新しく火災受信機を設置して既存の受信機と増築部分の新規に設置した受信機を接続することにより法令に適合することができます。

消防法施行規則24条2号ヘ 
P型一級受信機で接続することができる回線の数が一のもの、P型二級受信機、P型三級受信機、GP型一級受信機で接続することができる回線の数が一のもの、GP型二級受信機及びGP型三級受信機は、一の防火対象物(令第二十一条第一項第十号、第十一号及び第十三号に係る階にあつては、当該階)につき三台以上設けないこと

消防法施行規則24条2号ト 
一の防火対象物(令第二十一条第一項第十号、第十一号及び第十三号に係る階にあつては、当該階)に二以上の受信機が設けられているときは、これらの受信機のある場所相互間で同時に通話することができる設備を設けること。

消防法施行規則24条2号ヘ・ト

2台以上設置する場合に必要な措置

必要な措置

・各受信機関に通話装置を設置する
※消防法施行規則24条2号ヘ

・火災情報の共有(地区音響装置を鳴動させる措置)
※地区音響については消防予第282号の自火報検査要領に記載あり

受信機を2台設置する場合の通話装置

受信機を複数台で共有することは技術的には全く難しくありません。というのももし特種な技術で難易度が高ければここに書くことはありません(笑)。

上の図で受信機を本館と別館に設置しました。この2台の受信機間にインターホンなどの通話装置を設置します。これでOKです。どのような電話を設置するかについては管轄の消防署とよく話し合う必要があります。通話装置自体特種なものではなく数多はありません。

火災受信機と地区音響ベルの共有

本館と別館の受信機があるとします。本館の火災感知器が作動したら当然に本館の火災受信機が働き、本館の地区音響ベルを鳴動させます。

火災受信機には移封接点があるのでこの端子を使用して別館に信号を飛ばします。本館受信機が働いたら無電圧A接点(はじめは開いているが感知器が作動したらスイッチが入る回路)の端子(FA-FC間メーカにより異なる)に別館受信機のL端子-C端子に接続します。これだけで完了です。

L-C端子間は感知器の回路なので、本館の感知器が作動したら本館受信機のFA-FCがショートし別館のL-C回路が作動します。

次に別館の移封接点回路を本館のL-C端子に同様につなぎます。そうすることで別館の感知器が作動したときに別館の受信機の移封端子がショートし、本館のL-C回路がさどうするという具合です。非常に簡単に接続ができます。

移封接点自体は無電圧接点ですが、画像の受信機ではDC30V-1Aまでかけることができます。自動火災報知設備の移封接点は主にA接点、B接点を使用します。AとBについては少し理解が必要になります。

移封接点について

移封接点は主にA接点とB接点が使用されます。A接点はもともと回路が開いている(切れている)がスイッチが入ったときに回路が形成(短絡)されます。

一方、B接点はすでに回路が形成されている状態でスイッチが入った時に回路が切れる接点になります。B接点は元々短絡している回路ということになります。

主に使用される移封接点

AB接点の用途

A接点
火災報知器の回路、非常放送連動、火災通報装置連動、誘導灯連動、カットリレー

B接点
警備会社への連動、カットリレー

消防設備関連ではA接点を使用することが多く、警備会社への連動関連はB接点を使用することが多い傾向にあります。特に決まりがあるわけではないのですが、接点を使う(受ける側)機器類は「無電圧A接点」が標準で搭載されていると思われます。火災受信機がABどちらも搭載されていので様々な機器類と連動させることが可能です。

参考記事:自動火災報知設備の移報端子とA・B接点

まとめ

・受信機を2台以上設置する場合は通話装置が必要
・地区音響を相互に鳴動させる必要がある
・A接点にL-C端子を接続すれば受信機の連動が可能となる
・相互間で連動させる措置を取る必要がある

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