消防法令違反をするとペナルティーがあります
消防法の罰則について質問をいただくことがあります。我々は消防設備を維持管理している業者なので、罰則が適用されるような場面に出くわすことはほとんどありませんが、今回は罰則についてまとめてみたいと思います。
罰則については消防法9章の罰則「第38条~第46条の五」に記載されています。
刑罰は厳しい順から、懲役、禁錮、罰金、勾留、科料となります。基本的に、懲役又は〇〇年以下の懲役といったどちらかの刑罰が科されますが、中には懲役+〇〇年以下の懲役といったいづれについても併科される場合もあります。
また両罰規定というものがあり、法人の業務に関する規定の違反行為があった場合には、違反を行なった者だけでなく法人に対しても罰金を科すという罰則があります。この規定には最高1億円という金額が設定されています。
第四十五条【両罰規定】
消防法45条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
1億円以下の罰金が設定されている項目は防火対象物の使用禁止命令、停止命令、制限命令違反、その他が該当します。
第四十五条
消防法45条1項1号
一
第三十九条の二の二第一項、第三十九条の三の二第一項又は第四十一条第一項第七号 一億円以下の罰金刑
消防法:e-Gov法令検索
消防法の罰則
様々な罰則規定
消防法による罰則は一般市民に関連するものからそうでないものまでさまざま存在しています。例えばこれから火を消しに行く消防車を妨害したもの(40条1項1号)は誰にでも当てはまることであり、必要な消防設備の設置命令に対して違反したもの(41条1項5号)はビル所有者、占有者(管理権原者)にかかるものです。
当然に責任が大きいものは重い刑罰が科されることになります。
刑罰の内容
消防法による罰則 | 内 容 |
懲 役 | 身体を拘束し刑事施設にて拘束 刑務作業がある |
罰 金 | 財産を強制徴収する刑罰 |
勾 留 | 身体を拘束する 刑務作業なし |
過 料 | 行政上の義務違反に対して金銭徴収 ※刑罰ではない |
消防法に関する罰則には、懲役、罰金、勾留、過料が設けられていて、身体を拘束する懲役、勾留から、財産を徴収する罰金、過料があります。過料は行政上の義務違反に対する制裁のため刑罰には該当しません。
消防法における罰則一覧(一部省略)
消防法による罰則規定を一覧にしてみます。
※一般市民に関係性が薄く馴染みがないもの(検定品関係、危険物関係、その他)に関しては省略しております。
38条 | みだりに消防用の望楼又は警鐘台を損壊し、又は撤去した者 | 7年以下の懲役 |
39条 | みだりに火災報知器、消火栓、消防用の貯水施設を損壊し、又は撤去した者 | 5年以下の懲役 |
39条2 | 製造所、貯蔵所又は取扱所から危険物を漏出させ、流出させ、放出させ、又は飛散させて火災の危険を生じさせた者 例外:公共の危険が生じなかった場合を除く |
3年以下の懲役 又は 300万以下の罰金 |
39条2-② | ↑によって死傷させた者 | 7年以下の懲役 又は 500万以下の罰金 |
39条2の2 | 消防長又は消防署長の防火対象物に対する措置命令に違反した者 【懲役と罰金の併科可 39条-2-2-②】 |
3年以下の懲役 又は 300万以下の罰金 |
39条3 | 業務上の注意を怠り製造所、貯蔵所又は取扱所から危険物を漏出、流出、放出、飛散させて火災の危険を生じさせた者 例外:公共の危険が生じなかった場合を除く |
2年以下の懲役もしくは禁錮 又は 200万以下の罰金 |
39条3-② |
↑によって死傷させた者 【懲役と罰金の併科可 39条-3-2-②】 |
2年以下の懲役 又は 200万以下の罰金 |
40条1① | 火災の現場に赴く消防車の通過を故意に妨害した者 | 2年以下の懲役 又は 100万以下の罰金 |
40条1② | 消防団員が消火活動又は水災を除く他の災害の警戒防御及び救護にに当たる行為を妨害した者 | |
40条1③ | 消火若しくは延焼の防止又は人命の救助に従事する消防吏員又は消防団員の土地の使用、制限を妨害した者 | |
40条2 | ↑ 懲役と罰金の併科可 ↑の行為により死傷に至らしめた場合 |
消防法又は刑法により重罰 |
41条1① | 消防長、消防署長その他の消防吏員による防火対象物に対しての措置命令に違反した者 | 1年以下の懲役 又は 100万以下の罰金 |
41条1② | 防火管理上の措置命令に違反したもの | |
41条1③ | 指定数量以上の危険物を貯蔵所以外で取り扱った者 | |
41条1④ | 映画館で緩燃性でない映画を映写する場合で基準通りの設備を具備しなかった者 | |
41条1⑤ | 必要な消防設備の設置命令に対して違反したもの | |
41条1⑥ | 消防用機器類の検定に対する規定に違反した者 | |
44条1① | 屋外の火の始末等の予防措置命令に違反した者 | 30万以下の罰金 又は 勾留 |
44条1② | 立入検査、資料の提出について拒み、虚偽の報告、報告をせず検査もしくは収去を拒み、妨げ忌避した者 | |
44条1③ | 防火対象物点検表示、防炎性能表示違反をした者 | |
44条1④ | 屋外タンク施設の検査を拒んだ者 | |
44条1⑤ | 製造所の定期点検記録を作成せず、虚偽点検を記録、又は点検記録を保存しなかった者 | |
44条1⑥ | 移動タンク貯蔵所乗車時の危険物取扱免状携帯義務違反 | |
44条1⑦ | 危険物移送時の質問、消防吏員又は警察の停止、検査等に従わず要求を拒んだ者 | |
44条1⑧ その他 |
統括防火管理者選任届、圧縮アセチレンガス、液化石油ガス等の貯蔵、取り扱の届出などを怠ったもの |
|
45条 両罰規定 |
防火対象物の使用禁止命令、停止命令、制制限命令違反/防火対象物の改修、移転、除去、工事の停止、中止その他の必要な措置命令違反、他 | 法人 1億円以下の罰金 行為者 300万円以下の 罰金 |
45条2 両罰規定 |
危険物の貯蔵、取り扱い義務違反 消防設備の設置維持命令違反 |
法人 3000万円以下の罰金 行為者 100万円以下の 罰金 |
45条3 両罰規定 |
製造所、貯蔵所から危険物を流出、放出、飛散させ火災の危険を生じさせたもの 他 | 法人 300万円以下の 罰金 行為者 300万円以下の 罰金 |
46条 | 指定数量未満の危険物の貯蔵取扱義務違反 | 条例にて 30万円以下の罰金まで設定可 |
46条の4 | 危険物保安基準協会でないものが同名の文字を用いた場合/協会でないものが日本消防検定協会という名所を用いた場合 | 10万円 以下の過料 |
46条の5 | 防火対象物の特例認定を受けた防火対象物の権原者の届出をしなかった場合 自主表示対象機械器具等の表示を付そうとするときの総務大事への届出をしなかった場合 |
5万円 以下の過料 |
不備事項による改修計画について【設備点検改修・防火対象物点検改修・査察による改修】東京の場合
消防設備や防火管理に関する不備事項、がありましたら早めに是正することをお勧めいたします。