火災報知機の感知器設置工事に資格は必要か?

火災報知機の感知器設置工事に資格は必要か?
特定小規模施設用の火災感知器
特定小規模施設用自動火災報知設備
この記事の概要
火災報知器の設置工事には資格が必要なケースと不要なケースがあります。資格が必要かどうかは自動火災報知設備の種類や条件により異なります。今回はどのようなときに資格が必要になるかについて解説していきます。

3種類の火災報知器システム

火災報知器は大きく3つに分けることができます。1つ目は一般型の自動火災報知設備、2つ目は特定小規模施設用、3つ目は住宅用火災警報器用です。この3つの火災報知器は建物の面積や用途などの状況に応じて使い分けられています。

1つ目の一般型は消防法令によりある一定以上の面積や用途の条件に当てはまる場合に設置義務が生じます。例えば飲食店や物販店では延べ面積が300㎡以上あれば設置義務になり、マンションやアパートの共同住宅では500㎡以上で設置義務になります。この決まりは消防法施行令21条で定められています。
※この設備を工事する場合は消防設備士甲種4類の資格が必要になります。

2つ目の特定小規模用自動火災報知設備は1つ目の基準よりやや小さめの建物で火災発生により大きな被害が想定できる建物に設置されます。特定小規模用は電池式かつ無線式のシステムで設置した感知器全てと無線通信を行い連動して警報を発する仕組みです。一般の自動火災報知設備を設置するときに比べて施工工数も設置費用も経済的になります。
※この設備の工事は無資格者でも施工することができます。中継機を使う場合は消防設備士甲種4類の資格が必要です。

3つ目は住宅用火災警報器です。住宅用警報機は自動火災報知設備が設置されていない建物で住戸に関するものに設置されます。一戸建てやマンション、アパートです。住宅用警報機は2つ目の特定小規模施設用と同様に電池で駆動します。異なる点を挙げると他の感知器と連動をさせる義務がない点です(連動する住宅用警報機も存在する)。よくホームセンターに売っているのがこの住宅用火災警報器です。
※この装置の設置は資格は不要です。

一般型自動火災報知設備用【資格必要】

一般型の自動火災報知設備は「火災受信機」「総合盤」「火災感知器」の3つの機器で構成されます。火災受信機はシステムを制御する親機で火災感知器が火災を感知したら火災受信機で火災の場所を知らせゴングベルなどの音響装置を鳴動させる役割があります。

総合盤にはゴングベル、手動起動用の押しボタン(発信機)、赤いランプの表示灯が収容されています。ベルは水平距離25mに1個、手動起動用のボタンは歩行距離50mに1台設置されています。

火災受信機と総合盤の画像
弊社で施工した一般型自動火災報知設備システム 左:総合盤 右:火災受信機

火災感知器は総合盤から配線を取り出し法令で定められている各々の場所に設置していきます。感知器の設置方法については消防法施行規則23条でこまかく定められています。

このように一般型の自動火災報知設備は法令を遵守し安全確実に施工する必要があるため国家資格である消防設備士甲種4類取得者による施工が義務化されているのです。

参考として、一般型には有線式と無線式の2タイプがあります。

特定小規模施設用自動火災報知設備用【一部資格必要】

特定小規模施設は火災の被害が大きくなることが想定される用途で面積が300㎡未満の建物に設置することができます。火災被害が大きくなる用途を例に挙げるとカラオケ、民泊やホテル、老人ホーム、格納庫類です。これらの施設は規制が厳し目に設定されています。このような場所には簡易的な無線システムであり低コストで設置できる特定小規模施設用自動火災報知設備の設置が認められています。

感知器は内蔵されている電池により駆動し感知器同士で通信を行い火災を警戒しています。火災発生時は内蔵された音響装置にて相互に連動して警報音を鳴らすことができます。電波通信は障害物がない状況で100m程飛ばせる設計にになっています。

特小自火報は親機と子機の関係でペアリングしていきます。パナソニック社製品では親1台に対して子機14台まで設置が可能となっています。

特定小規模施設用の火災感知器
左:親機 中:感知器裏と電池 右:子機

15台以上接続させたい場合は中継機をかますことで増設が可能となります。(※2025年4月現在ではまだ販売されていません。)特小自火報設置には資格は不要ですが中継機を使用する場合では消防設備士甲種4類の国家資格が必要になります。

2024年7月の法令改正により特定一階段等防火対象物でも使用が可能になりました。

住宅用火災警報器【資格不要】

住宅用火災警報器は上記に上げた自動火災報知設備が設置されていない場合での一戸建て住宅や共同住宅に設置義務となっています。こちらは自動火災報知設備に該当せず取付に資格は不要となります。これは住宅用火災警報器は火災が感知したときに機械単体で作動するものとペアリングをして数台で連動させるものの2種類があります。

住宅用火災警報器
ホームセンターで容易に手に入る住宅用火災警報器

住宅用警報機に見られる特徴として紐があります。一般型自火報と特小自火報には紐が設けられていません。住宅用にのみ存在します。この紐を引っ張れることで作動試験を行えます。一般住宅では法定点検義務がないためこのような紐を設け定期的期に各々チェックをする必要があります。

装置の駆動はリチウム電池です。電池は10年間使用できる設計になっています。専用の電池を購入すれば機械を続けて使用することができますが。単独作動式の感知器は電池の価格と感知器の価格にそこまで差がありませんので器具自体の交換をおすすめいたします。

関連記事のご紹介

Blogカテゴリの最新記事