💡 2026年最新版:2024年7月施行の改正消防法に対応済み
本記事は2019年3月の初公開以来、特定一階段の判定に悩む多くのオーナー様・管理会社様にご活用いただいてきた実務解説書です。
2024年(令和6年)7月の省令改正により、延べ面積300㎡未満の特定一階段等防火対象物において、無線式の「特定小規模施設用自火報(特小)」の設置が正式に解禁されました。これまで高額な有線工事が必要だったケースでも、大幅なコスト削減が可能になっています。
消防設備士×行政書士の現場実績をもとに、最新の判定基準と対策を全面的にリライトしました。まずは判定チェッカーで、あなたの物件が緩和対象かをご確認ください。
特定一階段等防火対象物に 該当するかどうかで 消防設備の設置義務が大きく変わります。 ビルオーナー、管理会社の方が 知っておくべきポイントを 現役消防設備士が解説します。
特定一階段等防火対象物 (読み:とくていいちかいだんとうぼうかたいしょうぶつ )と呼ばれている種類の建物があります。該当すると面積に関係なく強制的に「自動火災報知設備」の設置が義務付けられます。
【30秒診断チェッカー】あなたの建物は特定一階段?
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防火対象物
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質問に答えるだけで、該当するかどうか判定します。
判定結果が「該当」だった方へ
特定一階段等防火対象物に該当すると、これまでは高額な有線式の自動火災報知設備が必須とされてきました。
しかし、2024年7月の省令改正により、延べ面積300㎡未満であれば「特定小規模施設用自火報(特小)の設置が可能となりました。
- 「有線式で250万円と言われたが、無線式(特小)なら100万円以下で済む」
- 「配線工事が不要なので、最短1日で設置完了」
このようなコスト削減が可能です。タイムランでは、この新ルールを適用したプランの提案を得意としています。
まずは「本当に特小が使える物件か」を確認、協議し、最適なご提案をいたします。
判定結果が「非該当」だった方へ
現時点では規制対象外の可能性が高いですが、油断は禁物です。
- 「屋外階段に見えるが、実は屋内階段とみなされる構造だった」
- 「テナントの入れ替わりで、建物全体の用途が変わってしまった」
こうした見落としで、後から消防署に「自火報が必要」と指摘され、オープンが遅れるトラブルが多発しています。
屋外階段は「外気に解放されている」必要があり、火災時に煙を自然に排出し安全に避難できることが担保されている状況が求められます。屋根を付けたり壁で覆ったりすると屋内階段になる可能性があります。
特定一階段等防火対象物の概要
簡単に言うと、避難階以外の階の地下、3階以上に特定用途が入居している物件で、地上または避難階への直通避難階段(屋内階段)が1系統のものを言います。特定用途が地下または 3階に入居しなければ特定一階段防火対象物になりません。
また、屋内階段になると特定一階段等防火対象物の対象となるため、対象物件が屋外階段であれば「特定一階段等防火対象物」には該当しません。
「特定用途」とは?
特定用途とは、「不特定多数」の人々が使用する用途のことです。例えば、飲食店・物販・ホテルなどが該当します。細かい用途については消防法施行令別表第一に記載されています。よろしければ下記リンクをご参照ください。
| 特定用途(いろいろな人が使用可) | 非特定用途(使う人が決まっている) |
劇場、カラオケ、飲食店、お店、ホテル、病院、スーパー銭湯、その他 |
マンションやアパート、学校、図書館、倉庫、事務所、不動産店舗、美容室、整体院、その他 |
根拠条文
(特定一階段防火対象物)別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階(建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第十三条第一号に規定する避難階をいう。以下同じ。)以外の階(一階及び二階を除くものとし、総務省令で定める避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分が存する場合にあつては、その区画された部分とする。)に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段が二(当該階段が屋外に設けられ、又は総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合にあつては、一)以上設けられていないもの条文全文はe-Gov法令検索で確認
特定一階段等防火対象物とは(1項)劇場、集会場(2項)遊技場、ナイトクラブ、カラオケボックス、個室ビデオ関連(3項)飲食店(4項)物販店舗、(5項イ)ホテル、旅館、民泊(6項)病院、老人ホーム、幼稚園、保育園などなどの福祉施設(9項イ)サウナなど蒸気浴場などがある部分が、建物の地下または3階以上にありかつ、地上に直通する階段が 1 系統の建物。屋外階段は1系統でもOK。
ということが書かれています。
図解!特定一階段等防火対象物
特定一階段を確認するチェックリスト
- 避難階以外の地下または3階以上に、特定用途が入居している
- 避難階への直通階段【屋内階段】が1系統
- 屋内避難用階段が2系統ある場合、区画壁があり2系統の階段を使用することができない
上の全てに該当すると「特定一階段等防火対象物」になります。
※特殊な建物もあるので一概には言えませんが、原則的に特一対象物となります。
【例1】
地上3階/屋内階段1系統
参考記事:特定用途と非特定用途
該当する場合


特定一階段等防火対象物に該当する場合は、屋内階段が1系統で地下又は3階以上に特
上の図は単純に屋内階段が1系統なので、
次に、階段が2系統ある場合はどうでしょうか?
このような建物では、実質 1 系統しか階段を使えないので特定一階段等防火対象物とみなして取り扱うことになります。
番外編【メインの用途に付随して使用する場合】
【メインの用途が飲食店 + 飲食店倉庫】【物販店舗 + 地下倉庫 + 店主住居】このような形態の建物が存在します。このような場合はメインの建物の用途に従属させます。
飲食店舗も物販店舗も「特定用途」になります。これらの用途が地下または3階以上に入居すると特定一階段等防火対象物として取り扱われます。
該当しない場合
屋外階段が設置されている場合は特定一階段等防火対象物として取り扱いません。

1点、屋外階段が設置されている場合でも注意が必要です。当初屋外階段として確認申請が受理され適正に運用されていても、この階段に屋根や外壁を取り付けてしまうと屋内階段としてみなされることがあります。
屋外階段は「直接外気に開放され、煙を有効に排出できること」が必要です。後付けの屋根や壁によって、知らないうちに「屋内階段」扱い(特定一階段等防火対象物)になっているケースが多いため注意が必要です。
特定一階段等防火対象物に該当する場合の影響
再鳴動式自動火災報知設備が義務設置になる(延べ面積が300㎡未満の場合は特定小規模施設用自火報が使用可)
特定一階段等防火対象物に取り付ける自動火災報知設備は、「再鳴動式」のシステムでなければなりません。
再鳴動式とは、火災受信機に付帯されている機能のことで、一度作動した火災報知システムの音響を手動で停止させた場合に、ある一定時間経過したら再び警報を自動的に発する仕組みのことを言います。
一昔前の火災受信機は、一度警報音響を止めると再び音響が止まりっぱなしでした。音響が止まると避難が遅れる原因になる可能性が大きいため、特定一階段等防火対象物では再鳴動式の火災受信機が必要になります。
また、特定一階段等防火対象物になると、階段などの竪穴区画に煙感知器を設置する場合、垂直距離「7.5メートルに1台」設置が必要です。通常用途では15mに 1台 設置。
火災受信機の再鳴動機能
現在の火災受信機は、どのメーカーどの機種もほぼ全てが再鳴動対応になっています。
自火報システム主要メーカー「能美防災」「ホーチキ」「ニッタン」「パナソニック」があります。
特定小規模施設用自火報が使用できる条件
2024年7月23日に省令が改正され、特定一階段防火対象物に「特定小規模施設用自火報」を使用することができるようになりました。ただし、設置するには以下の条件があります。
- 延べ面積が300㎡未満であること(共同住宅500㎡未満かつ、宿泊用途300㎡未満)
- 特小感知器が火災発生場所を「音声警報」により周知する機能が備わっていること
特一で特小を使う場合、感知器が『音声警報』タイプであることが必須条件です。また、従来の基準にはなかった「廊下・通路への感知器追加」が必要になる点もポイントです。
また、電波問題により設置可能の建物が限定的でしたが、現在は器具の性能や電波中継機が発売されたことにより、様々な建物で使用できるようになりました。
一部の鉄筋コンクリート造りの建物では、電波中継機を使ってもシステムを構築できない場合があります。
特小感知器を特定一階段等防火対象物に付ける場合の注意点
特定一階段等防火対象物に特定小規模施設用の自火報感知器を設置する場合は「廊下・通路」が追加されます。
一動作式の避難器具が必要
【ベランダ・バルコニー以外に設置する場合】
特定一階段等防火対象物に避難器具を設置する場合は、下のいずれかに当てはまった方法で設置しなければなりません。
上記3つのパターンは、消防法施行規則27条に基づいた設置方法です。
まず、安全かつ容易に避難できるバルコニーは「概ね2㎡の面積」とされています。このバルコニーであれば通常の避難器具が使用できます。
バルコニーがない場合は「常時使用可能」「一動作式」のいずれかによらなければなりません。常時使用可能とは、あらかじめ避難器具を床や壁に据え付けている状態を指します。
据え付けてある吊り下げはしご等の器具を一動作に近い状況で使用できるように設置してあれば法令上認められた設置方法となります。
上記2つの設置が難しい場合は、一動作式の避難器具を設置することになります。一動作式避難器具は一般的に「一動作式の緩降機」を指します。
また、タイムランでは「一動作式避難器具の設置工事」が可能ですのでお問い合わせください。
防火対象物点検が義務になる
特定一階段等防火対象物で、建物全体の収容人数が30人以上の場合は、年一回の「防火対象物点検」が義務になります。
防火対象物点検では、建物が適正に防火上、避難上安全に維持管理できているかについて確認する点検です。この点検は消防署に報告する義務があります。
よくある質問
まとめ
特定一階段等防火対象物に該当すると、火災時の避難リスクが高いとみなされ、面積に関係なく建物全館への自動火災報知設備(自火報)の設置が義務付けられます。
しかし、2024年(令和6年)7月の省令改正により、実務上のハードルとコストは大きく変わりました。今回のポイントを振り返ります。
特定一階段等防火対象物のポイント
- 「特定一階段」の判定:地下または3階以上に特定用途(民泊・飲食店等)があり、屋内階段が1つしかない建物が該当
- 最新の緩和規定:延べ面積300㎡未満であれば、高額な有線工事ではなく「特定小規模施設用自火報(無線式)」が使用可能
- コスト削減のチャンス:従来の有線式で200万円以上かかっていたケースでも、特小自火報の活用で100万円以下(最大60%以上の削減)に抑えられる事例が増えています
- 付随する義務:再鳴動式受信機の採用、7.5mごとの煙感知器設置、一動作式避難器具の検討、および年1回の防火対象物点検が必要です
タイムランでは、消防設備士 × 行政書士の専門知見を活かし、建物の構造を精査した上で、「もっとも合法的な設置プラン」をご提案します。
「自分のビルは特小でいける?」「既存物件だけど有線設備の設置はできるか?」という方は、まずはご相談ください。図面1枚で、概算見積もりと最適プランをご提案いたします。
タイムランによる施工実績

特定一階段等防火対象物は、建物の構造によって工事の難易度が大きく変わります。お持ちの物件イメージに近いケースを参考にしてください。
・【RC造・露出配線を美しく仕上げたい方】
▶金属管を使った自火報設置工事:鉄筋コンクリート造の露出工事事例
外観を損なわないよう、金属管を用いて耐久性と意匠性を両立させた施工記録です。
・【打ちっぱなしコンクリート等の意匠建築の方】
配線が隠せない特殊な構造でも、プロの技術で違和感なく設置した事例をご紹介します。
・【新築・デザイナーズ物件で民泊を始める方】
築浅の物件に、資産価値を落とさず後付けで設備を導入したプロセスを公開しています。
・【既存の倉庫や建屋を有効活用したい方】
配線ルートの確保が難しい既存の建物に、一からシステムを構築した実例です。

村串 大輔
2005年より消防設備業界に携わり、2011年に株式会社タイムランを設立。自ら現場に立ち、自動火災報知設備やスプリンクラー、避難器具など、電気系から消火系まであらゆる消防設備の施工を数多く手掛ける。
2023年4月にはタイムラン行政書士事務所を開設し、現場知識と法務の両面から防災をサポート。これまでに手掛けた消防関連の申請届出は3,000件以上。現場のことはお任せください。