弊社は自火報や放送などの電気系消防設備の工事が多いですがスプリンクラーや消火栓などの水系消火設備工事も同時並行で行っています。少し広めの物件ではスプリンクラーや消火栓もついてくるのでいっそのことやってしまえ!という具合で始めたのがきっかけです。
スプリンクラーの工事は「消防設備士甲種1類」という資格が必要になります。この業界に入ったときは自火報の4類と消火器の6類があればいいかと思いつつも、当時は多少時間にゆとりがあったので1類も4.6類の延長で取得しておきました。結果取っておいてよかったです。
ということで今回はスプリンクラー(SP)工事について簡単に書いていきたいと思います。
スプリンクラー工事をやってみた!
スプリンクラーにもいろいろな方式があり「湿式」「乾式」「予作動式」「水道直結型」「パッケージ式」といくつものパターンがあります。私が業務を行っている首都圏の防火対象物ではほとんどは「湿式」です。乾式や予作動式は凍結するような寒い場所で採用されますが、東京周辺は暖かいので湿式が主流となっています。
今回の装置は湿式で、SP配管の内部にあらかじめ水が張られており、水圧のかかっているSPヘッドが開放したときに配管内部の圧力が低下し、低下することで圧力起動装置が作動し、ポンプが自動的に動き出すという流れです。ポンプが起動させれば開放したヘッドから大量に放水されます。(その他の方式は時間の都合上今回は触れません)
水を抜く(水抜き作業)
この装置は真ん中に逆止弁が設置されており、下から上に水が流れますが、上から下には流れません。下側はポンプ側で1次側、上側はSPヘッド側で2次側と呼ばれています。1次側と2次側の圧力が均衡すると逆止弁が閉じることになります。
バキュームポンプ
工事をするには配管内の水を抜かなければなりません。水抜き作業はこのバルブで行います。メインバルブを閉めドレンバルブを開放して水を抜いていきます。ただこのままでは抜けきれないのでバキュームポンプを使用します。この装置を使用し配管内の水をバキュームします。
※アラーム弁操作は非常に難しく操作を誤ると他の場所で不具合が出るケースがあります。
水を抜き終えたらヘッドを取付けていく
水を抜き終えたら配管工事が可能になります。画像ではヘッドが外れている状態で、完全に水が抜き切れていることが分かります。この状態でSPヘッドを取付けて天井に固定していきます。固定するまでカバーはそのままにしておきます。
今度は別の場所でダクトの下側にヘッドを装着します。
このヘッドはマルチ型といって天井がある場所でもない場所でもマルチに使用されています。こんな具合で数カ所次々と交換していきます。ヘッド交換は専用工具を使用します。パイプレンチを使用すると思わぬ衝撃が加わったりするのでよくありません。専用工具を使用し作業が完了したら復旧作業に入ります。
抜いた水を元に戻す(水張り作業)
作業の初めに抜いた水を元通りに戻します。水張りはSPポンプを使用し配管を1メガパスカルの圧力に加圧していきます。工事中に配管を開けているのでエアが配管の所々で溜っているので、末端試験弁やバルブの操作でうまく逃がしてやります。
エアをしっかり抜かないと配管内の圧力が低下する原因になることがあります。バルブは一気に開けるのではなくをやさしく徐々に操作する必要があります。水圧1メガパスカルはかなりの力なので強引な操作をすると他の場所で不具合を起こしてしまうことがあります。操作は慎重に。