屋内消火栓設備は建物内部にポンプと消火栓箱間を専用配管で結び、火災が発生した際、直ちに消火活動が行えるようにするための消火設備です。
消火用水は水槽に貯められており、火災の際、消火栓ポンプにて、一気に吸い上げ消火活動を実施する消火栓へ水を送り込みます。
消火栓ポンプの起動は、消火栓始動器にて行われます。火災信号を受信した消火栓始動機が中継し、消火栓ポンプへ起動信号を送ります。この始動装置は、各消火栓のランプをフリッカー(点滅)させる機能も兼ねています。
フリッカーはポンプが始動しているサインになっています。ポンプから離れた場所にいても消火栓のランプが点滅していたら、ポンプが動いているということが分かるようになっています。
ポンプ起動後、消火栓側で放水を開始します。消火栓のバルブを開放することでポンプから圧送された消火水を放水します。放水操作は構造上2人以上で行う必要がありますが、最近の製品では1人でも簡単に操作ができる易操作性消火栓も実用化されています。
消火栓のしくみ
消火栓はポンプから見て水源側を1次側、消火栓側を2次側とします。最上部には高架水槽を設けております。配管内部は常に水が張られ、ポンプを起動させ、直ちに消火用水が放出できるようになっています。
消火栓ポンプを起動させるには
消火栓ポンプは『消火栓始動器』により制御されます。この消火栓始動機は簡単に言うと中継機です。
火災を発見した人が押し釦(発信機)を押すことで自動火災報知設備が作動します。自動火災報知設備は火災受信機という装置が制御しています。
火災受信機が押し釦を押したという信号を受け取ると、『消火栓始動器』に信号が送られます。次に消火栓始動器から消火ポンプへ起動信号を送ると同時に、建物の各場所に設置している消火栓ボックスの表示灯ランプを点滅させます。※火災受信機で表示等をフリッカーさせている場合もあります。
火災報知設備側の制御盤が火災受信機であるのに対して、消火栓の起動制御はこの消火栓始動器で行います。
- 現場で押し釦を押す
- 火災受信機が押し釦信号をキャッチ
- 火災受信機から消火栓始動機へ信号を送る
- 消火栓始動器からポンプへ起動信号を送る
- 同時に各消火栓ボックスの表示等をフリッカーさせる
といった流れになります。
ポンプ起動したら消火栓ボックスから放水
ポンプが起動したら消火栓の配管内にはポンプによる圧力が加わります。ポンプから圧送された水は、ホース根本に設置されているバルブを開放することで放水可能になります。
放水圧力は1号消火栓で0.17MPa、2号消火栓で0.25MPa、広範囲2号消火栓で0.17MPaという数値になっています。消火栓のポンプが設置されている場合の大半は1号消火栓であると考えられます。
それなりの放水圧力が加わるため、操作上バルブを開放する係と、ホースを持ち放水する係を分担することが必要となり2人以上で消火栓を操作する必要がありました。近年ではより簡単、確実に消火栓を扱えるようにするため異操作性の消火栓が設置されるケースが増えてきています。
関連記事:補助散水栓と消火栓の違い、使い方
参考:消防法施行令