避難器具には一動作式で展開させなければならない場合があります。この決まりごとは、消防法施行規則第27条に記載されています。では、どのような場合に一動作式の避難器具が必要であるかというと、、
- 特定一階段防火対象物で下記のもの
- バルコニーがない
- 常時使用できる状態で設置されていない
というような状況であります。
今回は緩降機を中心に一動作式の避難器具について簡単にご紹介させていただきます。
第二十七条
避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。一 避難器具のうち、特定一階段等防火対象物又はその部分に設けるものにあつては、次のイからハまでのいずれかに適合するものであること。イ 安全かつ容易に避難することができる構造のバルコニー等に設けるもの。
消防法施行規則第27条
ロ 常時、容易かつ確実に使用できる状態で設置されているもの。
ハ 一動作(開口部を開口する動作及び保安装置を解除する動作を除く。) で、容易かつ確実に使用できるもの。
参考記事:避難器具の設置基準
緩降機の概要
緩降機と書いて『かんこうき』と読みます。だんこうきという人も中にはいらっしゃいます。正確にはかんこうきであります。緩降機は上半身に輪っか上のベルトを巻き、地上階(避難階)に安全に降りることができる機械であります。
漢字ではユルクおりる機械と書きます。機械に設置されている調速機という落下スピードをコントロールする装置が落下速度をユルクしてくれます。そのため安全に緩い降下で避難が可能であります。
部品構成
- 土台・台座
- フック(台座と緩降機本体を繋ぐ金具)
- 着用具(上半身に巻き付けるベルト)
- 調速機(効果速度を緩くする装置)
- ロープ(それぞれのパーツを繋ぐ)
緩降機は本体をリールの中に丸めて収められています。避難の際このリールを下に落としロープをぶら下げた状態で使用可能になります。上半身に巻きつけるベルト(着用具)は投げ下ろしたロープの末端側と、実際に避難する階で使用する末端、両末端に取り付けられており、シーソーのような形で使用します。
なにが一動作なのか?
いままで何度も一動作、一動作式と繰り返し書いてきましたが、何が一動作なのでしょうか?法令による定義を見てみると下記の記述があります。
「一動作型避難器具」とは、一動作(開口部を開口する動作及び保安装置を解除する動作を除 く。)で、容易かつ確実に使用できる避難器具をいう
一動作の定義
開口部の開口と、保安装置を解除する動作を除き確実に使用できるものとあります。アームの展開は保安装置を解除する動作に該当します。今回の場合ですと、緩降機本体のリールを下に下ろすことが1動作に該当します。
アームはほんの軽い力で持ち上げることができ簡単に展開できます。伸ばしきったら安全装置のロックがかかる仕組みになっています。ストッパーでアームがロックされます。
アーム展開動画【一動作式緩降機を動かしてみた!】
まとめ
- 特定一階段防火対象物のバルコニーがない物件は一動作式
- 一動作は開口部の開口と保安装置を解除する動作は含まれない
- 容易・確実に使用できるものであること