非常放送設備の2線式・3線式配線について

非常放送設備の2線式・3線式配線について

非常放送設備には『非常放送アンプ』から配線をして『スピーカー』『アッテネーター』に接続します。各箇所に配線を引くわけですが、配線方法として、2本の線を使用する『2線式』、3本の線を使用する『3線式』があります。

非常放送設備は、非常時の警報音響や避難誘導放送に使用されます。スピーカーが設置されている居室によっては、ボリュームをコントロールするためのアッテネーターを設置します。

もし緊急放送時に、スピーカーのボリュームがアッテネーターで絞られていたら、肝心な放送内容を聞けなくなる恐れがあります。非常時にはすべてのスピーカーが完全に聞こえるように、3線式工事で施工する必要があります。アッテネーターボリュームを0にシボッていても、強制的にスピーカーを鳴らすことができます。

今回は簡単に、2.3線式の概要を書いていきます。

2つの放送モード

非常放送には2つのモードがあります。1つは『業務放送モード』、もう1つは『非常放送モード』です。業務放送は館内放送や案内放送に使用します。『〇〇さん内線 252 番までお願いします』 という放送を非常放送アンプで兼用可能です。業務放送はアッテネーターを使用することでボリュームの調整が可能です。会議室、応接室などの音量調整が必要な場所に設置されています。

非常放送モードは、緊急放送で使用するためのもので、自動火災報知設備のサイレンや避難誘導、地震放送で使用します。 アッテネーターでボリュームをゼロにシボっていても、強制的にサイレンや音声放送をフルパワーで鳴らします。

非常放送アンプ 非常放送時に音声や信号を受信する制御盤
非常放送スピーカー 非常放送スピーカーで業務放送としても使用可
アッテネーター 音量を調整するボリュームがついた装置

業務放送モード

非常放送アンプ
業務放送モード

業務放送では N線 ( HOT ) - C線 ( コモン ) の2本でスピーカーを鳴らします。2線式の場合はこの状態で非常放送を起動させます。3線式の場合で業務放送を行う場合は R 線はお休みとなります。

※メーカーにより名称などが異なる場合があります。

放送設備2線式と3線式の図

非常放送モード

非常放送アンプ選択スイッチ
非常モード

2線式3線式画像

2線式の場合は業務放送で使用している配線と変わらず N線 ( HOT )-C線 ( コモン ) でスピーカーを鳴らします 。非常放送モードで起動すると、『カットリレー』が働きます。カットリレーは各居室内のBGMやカラオケなど、音響システムを強制的に停止させるためのリレーです。放送内容を確実に聞こえるようにするための仕組みです。

3線式はR(緊急線)、N(ホット)ショートし『R線・N線-C線』間でスピーカーが鳴ります。N線がアッテネーター回路をくぐって、ボリュームをシボッていても緊急時にR線が働くことで強制的にスピーカーを鳴らすことができるのです。

スピーカーとアッテネーター

非常スピーカー

アッテネーターはスピーカーのボリュームを調整するための装置です。スピーカーの設置方法は大雑把でありますが、

  • アッテネーターを使用しない(ボリューム調整を必要としない)
  • アッテネーター内蔵のスピーカーを使用する
  • スピーカーには内蔵していないが外部にアッテネーターを設置

ざっくりとこんな感じではないでしょうか。アッテネーターは会議室や応接室などの業務放送が不要になる場所に用いられます。非常放送時は3線式工事を行うことで、通常時にボリュームを 0 にシボッていても緊急時には強制的にサイレン・避難誘導放送を鳴らすことができます。

アッテネーターについて:非常放送とアッテネーター
参考記事:非常放送設備の紹介・アンプ実施による差動内容と使い方

まとめ

  • 2線式と3線式の施工方法がある
  • 業務・非常2つの放送モードがある
  • 業務放送ではN-C間
  • 非常放送時ではN・R-C間
  • アッテネーターを使う場合は3線式で施工する

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