体育館の高所煙感知器を交換してみた【原因特定から復旧まで】

体育館の高所煙感知器を交換してみた【原因特定から復旧まで】
高所のキャットウォーク画像

高所に設置された煙感知器が作動しなくなったので調査及び交換作業をしてきました。一般的に使用する煙感知器【光電式スポット型2種】は高さ15mメートルまで設置することができます。火災感知器は高さが高くなるにつれて面積あたりの設置個数が多くなります。

煙式スポット型
高さと面積
1種 2種 3種
4m未満 150㎡ 150㎡ 50㎡
4m~15m未満 75㎡ 75㎡
15m~20m未満 75㎡

高天井の場合はスポット型とは別の【光電分離型】という広範囲の煙感知器が使用されることがありますが、今回の現場ではスポット型のものでした。高所の場合は足場を組んだり、高所作業車による作業となりますが、今回の場合はキャットウォーク上に感知器があったのでこちらを使用しての作業となります。

原因特定と作業の概要

  • 受信機機能の一部停止
  • 受信機でエラーの種類を確認
  • 動かない感知器の特定
  • 感知器を見つけ新規配線
  • 器具つけ
  • 試験

今回の作業手順は下記の通り

火災受信機機能を一部停止

P型1級火災受信機操作部
火災受信のスイッチ類

突然動かなくなり原因がわからないため、まずは調査することからはじめます。自動火災報知設備を保守モードにし、各種警報音響や、移封関連信号が外部に飛ばないように処置します。

火災受信機の処置が完了したら受信機表示と警戒区域図を照らし合わせどこのエリアの感知器に異常が出ているのかを確認します。回路導通試験により断線が確認できたため、切れている線を特定し復旧させる作業を行います。

参考記事:非常放送設備の紹介・実機による作動内容と使い方

動かない火災感知器を特定する

感知器を設置する際に「警戒区域」というものがあります。これは1警戒が600㎡までという制限があります。【※1主要な出入り口から見通すことができる場合は1000㎡以下とすることができる】

実際の運用上では、火災受信機の回線数(警戒区域)に余裕を見て節制されていることがほとんどなので600㎡をみっちり使い切って警戒区域を設定するということは珍しいです。

一の警戒区域の面積は、六百平方メートル以下とし、その一辺の長さは、五十メートル以下(別表第三に定める光電式分離型感知器を設置する場合にあつては、百メートル以下)とすること。ただし、当該防火対象物の主要な出入口からその内部を見通すことができる場合にあつては、その面積を千平方メートル以下とすることができる。

e-Gov:消防法施行令21条2項2

話がそれましたが、断線の原因については、警戒区域内で感知器が動く場所と動かない場所の境目を探していきます。この作業は実際に感知器を試験機で動かし作動させます。境目が確認できたら動かない感知器につながっている感知器を特定させます。

図面がある場合は図面で確認すると効率が良いですが、図面通りのルートで施工されていないことも多々あるのでその場合は自力で特定することになります。

特定できたら元ある配線を引き換える

天井設置の光電式煙感知器

今回はもともとの配線を使用せず、新規に配線を引き換えます。天井内に配管が埋設し合ったのでこちらの配管を使用し古い配線を引き抜くと同時に新しいものに交換します。

この感知器に接続されてた感知器の距離は約30mあったので、配管がなかったら厳しかったかもしれません。

器具を設置したら試験

加煙試験機による作動試験
煙を入れる


火災表示窓のイメージ画像

器具の設置が完了したら、火災受信機に戻り、はじめに確認したエラーが復旧しているかを確認します。断線復旧は回路導通試験を行います(現行の受信機の場合は表示盤の点滅が消えているか)。

消えていることが確認できましたら現地で試験を行い差動試験を行います。この手の作業は原因が特定できればそこまで難易度が高くないので、原因特定までのスピードが非常に大切になります。

まとめ

  • 火災受信機の警戒区域図でエリアを確認
  • エリア内の感知器チェック
  • 配線を引き換えて試験をする
  • 受信機を元通りに

参考記事:断線の仕組みと対処法
参考記事:緊急事態!火災報知器の誤作動よくある原因

Blogカテゴリの最新記事