カーテンや絨毯を設置するとします。設置する建物の用途によっては「防炎製品」の設置が求められます。このような防炎規制がかかる建物や用途を「防炎対象物」と呼びます。
防炎対象物に使用するカーテン、布製ブラインド(木製はOK)、絨毯類は着火しづらく、自己消火性を備えた防炎性能を有した製品を使用しなければなりません。
カーテンや絨毯の取扱店舗はどのような扱いになるか?
カーテンや絨毯を販売する店舗は消防法施行令別表第一の4項、物品販売店舗に該当します。こちらの店舗は不特定多数が出入りできる用途「特定用途」に該当し防炎対象物となります。
防炎対象物は冒頭で書いたとおりカーテンや絨毯を設置する場合は防炎物品でなければなりません。では防炎対象物である物品販売店舗に展示するカーテンや絨毯はどうなるのでしょうか?
非防炎物品のカーテンやじゅうたんを展示できるか?
結論から書くと防炎製品を使用するのと同様な状態で設置(展示)している場合も防炎規制がかかるとされています。自治体によっては一部例があるかもしえませんが原則規制がかかります。理由は展示と実際の使用の形態に違いがないためです。
展示物が何らかの理由で燃えてしまっても実際の火災に違いがでるわけではありません。そのため物販店舗という理由で防炎対象物の規制が解除されることにはならないのです。
規制されている防炎物品の一覧
1 | カーテン |
2 | 布製のブラインド(木製はOK) |
3 | 暗 幕 |
4 | じゅうたん ※面積2㎡以下のものを除く |
5 | 毛せん(フェルトのカーペット) |
6 | タフテッドカーペット、ニッテットカーペット、フックドラッグ、接着カーペット、ニードルパンチカーペット |
7 | ご ざ |
8 | 人 工 芝 |
9 | 合成樹脂製床シート |
10 |
床敷物のうち毛皮製床敷物、毛製だん通り及びこれらに類するもの以外のもの |
11 | 掲示用の合板、掲示板、バックボード |
12 | どん帳、水引、袖幕、暗転幕 |
13 | 舞台に多いて使用する大道具の合板 |
14 | 工事用シート |
15 | 仕切りに用いられる布製アコーディオンドア |
16 | 室内装飾のために壁に沿って下げられる布製品 |
17 | 布製のレン、装飾幕、紅白幕で下げ丈が1m以上のもの |
18 | 映写用スクリーン(劇場や映画館で使用されるもの) |
19 | 展示会場で用いられる合板で台、バックスクリーン、仕切りなどで使用されるもの |
20 | 店舗部分で商品の陳列としてではなく天井から下げられている状態で使用される合板 |
21 | 屋外の観覧席、通路等の部分にしかれているじゅうたん等 |
22 | 体育館で使用される目隠し布 |
23 | 昇降機(エレベーター)の床、壁の内面保護等のための敷物 ※2㎡以下のものを除く |
どのように販売すれば規制から免れるのか?
ではどのように販売すれば規制から免れるのでしょうか。免れる方法がなければ実店舗で非防炎物品を販売するということ自体不可能になってしまいます。
カーテンは垂れ下げて掲示すると通常使用する状態と同じになるので折りたたんで販売すれば問題ないことになります。また各自治体の予防事務審査基準には「布製ののれん、装飾幕、紅白幕等で、下げ丈がおおむね1m以上のもの」と記載があり、製品を1mカットして展示すれば防炎規制を免れることになります。
また、じゅうたんについては2㎡未満であれば防炎規制がかからないことになります。2㎡以上の大きなものであっても「だん通」は対象外とされています。だん通とはペルシャ絨毯などの手で織られた重厚な芸術的製品でこのような製品は防炎物品から外されています。
2防炎対象物品
(1)法第8条の3第1項、政令第4条の3第3項の防炎対象物品には次のものが含まれるものであること。
ア 仕切りに用いられる布製のアコーデオンドア、衝立て
イ 室内装飾のために壁に沿って下げられている布製のもの
ウ 布製ののれん、装飾幕、紅白幕等で、下げ丈がおおむね1m以上のもの
エ 映写用スクリーン(劇場、映画館等で使用されるもの)
オ 展示会場で用いられる合板で、台、バックスクリーン、仕切用等に使用されるもの
カ 店舗部分で、商品の陳列棚としてではなく、天井から下げられた状態又はパネル等として使用される合板
キ 屋外の観覧席、通路等の部分に敷かれているじゅうたん等
ク 人工芝ケ試着室に使用される目隠布
コ 昇降機(エレベーター)の床・壁の内面保護等のための敷物等(2㎡を超えるもの)
東京消防庁予防事務審査基準
(2)次の床敷物等は、防炎対象物品に含まれないものであること。
ア 大きさが2㎡以下のじゅうたん等
イ 特例基準第2条、2方向避難開放型住宅に住戸用自動火災報知設備を設置した共同住宅等に係る消防用設備等の技術上の基準の特例について(昭和62年9月22日予予第1116号予防部長依命通達)別記2、1及び共同住宅等特例基準(第253号)別記第4に適合する共同住宅の住戸部分に使用されるじゅうたん等
ウ 接着剤等で床に貼られ、床と一体となっている合成樹脂製床シート及びプラスチックタイル
エ 畳
オ じゅうたん等の下敷にクッション材として使用されているアンダーレイ、アンダークッション、アンダーフェルト等カ 屋外の観覧席のグランド、フィールド等に敷かれているじゅうたん等
キ プラスチック製ブラインド、木製ブラインドク 外壁に沿って垂れ下がっている広告幕
ケ 独立したさお等に掲げる旗(3)次の物品は防炎性能を有している防炎物品として取り扱うものであること。
防炎製品を通常使用する状態で展示するとどうなる?
通常使用する状態で展示すると建物の法定点検である「防火対象物点検」で不良判定になることがあります。防火対象物点検はある一定の条件に該当する防火対象物に課されている点検で防火対象物点検資格者が点検し年に1度管轄の消防署に届出をすることになっています。
防火対象物点検の項目で防炎物品についても項目があり適切に防炎物品を設置していない場合は不良判定となることでしょう。前の節に書いたカーテンを1m未満でカットするなどの措置も有効になります。