法改正による自動火災報知設備・既存建屋の新規設置工事があらかた行き届き一服したと思いきや、忘れた頃に依頼をいただくことがあります。消防署のデータから物件が漏れていたり、いままで使用していない建物を再稼働させるなど様々な理由でこのようなことが起こります。
ありがたく弊社に依頼が来ました。今回の用途は倉庫です。倉庫は消防法施行令別表1の14項に該当し、自動火災報知設備の設置基準を見ると「500㎡以上」で義務設置となります。今回の物件は150㎡ほどオーバーしていました。
今回は倉庫工事についてレポートしていきます。
まずは各所に配線を
まずは配線を引いていきます。縦に横に露出配線を限りなく少なく、隠蔽率100%を目指し施工します。配線を隠しきれない場合はモールやMKダクトを申し訳なく使用します。
縦配線と横配線
自動火災報知設備の配線は縦系統と横系統に分かれます。縦系統は階をまたぐ配線、横は同一階配線です。
通常縦配線は必要な本数を一束にした配線で、小規模物件の場合は10本から14本程度の幹線を使用します。縦に使用する幹線は若干太くなるので配線が通る隙間寸法が限られ隠蔽配線難易度が若干上がります。
感知器回路は0.9ミリや1.2ミリの配線を使用するためほんの少しの隙間でもスルスル入っていきます。比較的埋設配線をしやすい上、露出になっても目立たないようにすることができます。
火災受信機周りの配線
火災報知システムを制御する火災受信機に配線を集めていきます。火災受信機はすべての情報を収集する制御盤で、配線が集中する場所です。
受信機には火災信号を受発信する線と、電源を供給するための配線が必要になります。電源は分電盤よりAC100Vとアース線を持ってきます。
これらの配線も壁内部に隠蔽し露出をなくしていきます。消防設備では分電盤のメインブレーカー(漏電ブレーカー)の1次側から受電する必要があります。
天井裏にも感知器を忘れずに
建物の構造が耐火構造以外(準耐火構造・木造)で天井内部の高さ寸法が50㎝以上ある場合は、天井裏に火災感知器が必要になります。
天井裏に設置する感知器は通常設置する場合の設置基準よりも条件が厳しくなり警戒面積が少なくなります。例えば、差動式感知器を通常使用する場合は70㎡につき1台設置しますが、天井裏につけるときは40㎡に1台必要になります。
ちなみに煙感知器の場合では通常と天井裏ではどちらも150㎡につき1台で変更ありません。
配線が完了したら器具器具を取り付けていく
配線が済んだら器具を取り付けていきます。今回は鉄骨露出箇所が多く、鉄骨に取り付けるアタッチメントを使用しています。前に比べてこのような部材が豊富になり、作業効率が格段によくなっています。製造してくださり非常に助かります。
高天井部では感知面積が変わる
天井が高いと設置する感知器の数が多くなります。感知器には感知面積が設定されています。今回は2種の煙感知器を使用していますので煙感知器では、4m未満で150㎡に1台、4m以上15m未満では半分の75㎡に1台必要になります。
4m未満 | 4m以上~15m未満 | 15m以上~20m未満 | |
1種 | 150㎡ | 75㎡ | 75㎡ |
2種 | 150㎡ | 75㎡ | - |
3種 | 50㎡ | - | - |
あまりにも天井がたかい場合は光電式分離型や差動式分布型といった特殊な感知器を使用することが多くなっています。
感知器、総合盤を取り付けたら火災受信機に電源を入れ各種試験を行います。絶縁試験、同時作動試験、断線試験、地区音響試験、各種感知器作動試験、警戒区域と一致しているかを確認し工事は完了となります。
今回はP型2級でしたので規模が比較的小さく、建物の条件もよく非常に施工しやすかったので2日間の工程で完了です。完了後は消防署に設置届を提出し消防署立会検査という流れになります。
設備の設置を考えている方、その他ご不明な点がありましたらお問い合わせお願い申し上げます。