タイムランメンバー、インターン含めスタッフが海外各地で消防設備取材してきた模様をご紹介したいと思います。今回はインドです。
インドは世界有数の人口大国で、多様な都市が国の発展を牽引しています。政治の中心であるデリー、金融と映画文化が集まるムンバイ、IT産業の拠点として成長したバンガロールなど、地域ごとに異なる個性が共存し、国全体の勢いを生み出しています。
近年は経済成長が続き、若い労働力と技術産業の拡大が大きな原動力となっています。また、タージ・マハルをはじめ、バラナシの古い街並みや南インドの寺院群など、多彩な観光地が世界中の旅人を引き寄せています。インドの都市、経済、文化が折り重なる姿は、訪れる人に豊かな印象を残します。
インド編

インドは、他のどこにもない独特の雰囲気を感じられる国として多くの旅行者を惹きつけています。街では値段交渉が日常の一部として繰り広げられ、熱心すぎる客引きに戸惑うこともあります。
牛が歩き、糞が転がり、車やバイクはクラクションを鳴らしながら自己主張たっぷりに進んでいく、そんな雑然とした風景が生活そのものとして息づいています。日本とはまったく異なる文化の中で、人々が本能のままに生きているような力強さを感じる一方で、その自由さに少し羨ましさも覚えます。
インドに触れたことで、自分ももう少し肩の力を抜き、心にゆとりを持って暮らしてみようと思わせてくれる体験でした。
消火栓

ホース格納箱、ホースリール、送水口がそれぞれ独立していました。まずホースを伸ばして送水口に接続するタイプです。消火栓にはポンプが設置されているのかは不明ですが、ここの場所から送水装置を遠隔始動ができそうな装置はありませんでした。おそらくポンプ車から圧送するための設備で日本で言う連結送水管のような設備のようです。
日本の消火栓はあらかじめホースが送水口にセットしてあり、すぐ近くに設置してある発信機【押しボタン】を押しポンプを遠隔起動をさせます。ポンプが起動したらホースにつながっているバルブを開けばすぐに消火活動が可能になります。
スプリンクラーヘッド

スプリンクラーは耐食性に優れたグラスバルブを用いたヘッドです。赤い部分はガラス製で中に液体【アルコール】と微量の空気が含まれています。火災で熱を感知するとグラスバルブ内のアルコールが気化し内圧が上がりガラスを破壊し放水を開始します。
火災感知器・発信機
煙感知器は、インドなどでは日本よりひと回り大きく、ざっくり1.5倍ほどのサイズ感があります。天井につけると存在感がしっかりあって、「おお、デカいな」と思うレベルです。日本のコンパクトな感知器に慣れていると、少し印象が違って見えます。
アジア各国では日本製の消防機器を導入している施設が多くあります。普段日本で見慣れている機器類が設置されていると日本製ということで安心感があります。
さらに、発信機(非常ボタン)と電話端子が別々になっている点も特徴です。日本ではこの2つが一体型になっているので施工が楽でスッキリ収まりますが、インドでは独立しているため、取り付けの手間が少し増える印象です。
誘導灯

誘導灯は国によって意外なほどバリエーションがあり、インドでも多種多様なタイプが使われていました。海外では「緑地に白マーク」が一般的で、場所によっては「赤文字」を採用しているケースもあります。
しかし、透明のプレートに白いピクトだけが浮かぶタイプは初めての遭遇でした。見た目としてはかなりスタイリッシュで、インテリアデザインの一部としてはかっこよさがあるのですが、火災時の煙・暗闇・視認性を考えたとき本当に誘導灯として機能するのかは正直なところ判断がつきません。
こういうところに国ごとの基準や考え方の違いが現れていて見比べるだけでも興味深いところです。
あとがき
各国の消防設備を見比べていくと思いがけない発見があり、さまざまな角度から考えるきっかけになります。たとえば、煙感知器は日本のものより大きめのサイズが使われていることがあり技術的な背景だけでなく見た目の安心感を重視している可能性も感じられます。
どれが優れていると一概に言えるわけではなく、国や地域ごとに大切にしている価値観や文化が設備の形に表れているように思いました。それぞれの社会が、それぞれのやり方で「安心」をつくっているという印象を受けます。
今回の記事の件とは別ものとして、日本の消防設備は非常に優れており素晴らしいと断言します。