台風による自動火災報知機誤作動原因【気圧の変化と横なぐりの雨】

2019.09.24

台風と自火報の誤作動

自動火災報知設備の誤作動の原因の一つに台風の影響があります。主な要因は「気圧の変化」と「横殴りの雨」の二つです。今回は、台風によって誤作動が起こる仕組みについて、具体的に説明していきます。

台風による誤作動発生の原因

台風と火災報知器の関係

  台風による火災報知器の誤作動原因
気圧の変化 横殴りの雨が機器類にかかる
原因 作動する感知器は「差動式スポット」「差動式分布型」の熱感知器。 内部の端子や配線が水がかかりショートすることにより作動する。

特に、開放廊下にある押し釦(総合盤)内部に水が入り込みやすい。
対策

差動式の熱感知器は空気圧調整機構の「リーク孔」が設けられているため詰まりのない正常のものに交換する。

防水タイプの押し釦(総合盤)を使用し防水対策をする。

総合盤内部の端子が腐食しているかを確認する。腐食が認められる場合は過去に水がかかっていることが確定的。

台風による誤作動の原因は、「気圧の変化」と「横殴りの雨による機器内部への水分侵入」です。やや専門的な内容になりますので、それぞれの要因について個別に説明していきます。

気圧の変化と誤作動の関係

差動式スポット型感知器

火災感知器の種類の一つに「差動式感知器」があります。この感知器は、空気の膨張を利用して作動する仕組みになっています。

台風は渦を巻きながらゆっくりと通過していきますが、その中心部は周囲に比べて気圧が低くなっています。空気は、気圧の高い場所から低い場所へと流れる性質があるため、この気圧変化が感知器に影響を与える場合があります。

差動の原理を説明

当然ですが、全ての感知器が誤作動を起こすわけではありません。誤作動を起こしやすい感知器には一つだけ特徴があります。それは、リーク孔が詰まっているということです。

リーク孔は感知器内の空気圧と大気圧をある程度一定に保つために設けられている調整機構です。内圧が上がりすぎると火災信号を出してしまうので、膨張した空気を外部に放出することで誤作動を防止しています。

もしリーク孔が詰まっていたら空気が逃げ場を失いそのまま空気室内が膨らみ接点がショートして火災信号を発することになります。頻繁に差動式の熱感知器が非火災報を起こす場合は、感知器の交換を検討していただければよいかと思います。

台風以外の誤作動について:火災報知器の誤作動よくある原因

横殴りの雨が機器類に入り込む場合

総合盤に水が浸入し腐食
腐食した総合盤の端子

自動火災報知設備は電気で制御しているシステムのため水に弱いです。屋外に設置する場合は通常防水製品を使用します。ただ、防水製品を使用しても横殴りの激しい台風やゲリラ豪雨などを防ぐことは困難です。

外部に開放した廊下に設置する総合盤(押し釦、ベル、ランプが格納している箱)は、横風に乗っかり雨が総合盤内部に侵入することがあります。運が悪ければ内部の端子部に水が溜まり火災ベルが鳴ることがあります。

水が入りやすいかどうかは総合盤の蓋を開け、内部の湿気の状況、水が入った形跡、あるいは端子の腐食具合をチェックすれば分かります。また、総合盤に水が入った場合に以下の現象が生じることがあります。

・火災と断定しベルが鳴る
・火災受信機で電話信号を受信し警報がなる
・火災受信機のヒューズが飛ぶ

台風やゲリラ豪雨が発生すると様々なエラーが発生するのでその状況に応じで適切に対応することが大切です。

参考:台風について【気象庁ホームページ】

あとがき

台風が発生すると、気圧の差や横殴りの雨が原因で自動火災報知設備が作動することがあります。その他にも非火災報の原因となるものがありますのでよろしければこちらの記事もご参考ください。

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