『タバコの煙で感知器が作動するか?作動するとき濃度は??』と聞かれることがあります。タバコからは煙がでますし、煙が溜まれば当然に作動します。言葉でどれくらいの濃度で作動するのかを説明することができないので差動実験をしてみました。動画も制作しましたのでぜひ御覧ください。
タバコに反応する火災感知器

煙感知器
火災感知器はいつくか種類があります。主に使用されている感知器は熱感知器と煙感知器です。今回のテーマであるタバコの煙で反応する感知器は『煙感知器』になります。なので熱感知器でタバコの煙で作動することはありません。
煙感知器の特徴は感知器の側面に煙を取り入れるための穴が空けられています。煙感知器は天井から60センチ以内の天井付近に設置されているので、もし天井に煙が溜まったら感知器が煙に埋もれセンサーが作動し火災信号を発することになります。
設置されている感知器の見分け方については記事を別に書いておりますのでこちらをご参照願います。
参考記事:感知器の種類と見分け方
煙感知器の仕組み

上の画像は煙感知器を分解した画像です。煙感知器内部にはLEDランプが取り付けられています。煙が感知器内部に蓄積されると煙により発光された光が散乱します。散乱した光が、別の場所に設置した受光部に入ることで煙が感知器に煙が入っていると断定する仕組です。
煙の濃度が薄ければ光が散乱せず受光部まで光が届きません。よくある質問で『バルサン・アースレッドで作動するか?』というものがあります。最近では火災感知器に反応しない『霧状の製品』が発売されています。この霧が煙感知器に反応しないというのは、霧が感知器内部に進入しても『光を散乱させることがない』ためで、火災感知器を作動させるにいたらないからです。
霧状の製品について感知器の構造を知っている我々からすると素晴らしい着想という印象です。
作動実験装置の紹介

実際に使用した実験装置
今回は比較的小さめのクリアケースに煙感知器を設置します。使用する煙感知器は実際に様々施設で使用されている煙感知器(光電式スポット型2種)です。住宅用の電池式のタイプではなく、自動火災報知設備の実機を使用しています。電池式の住宅用火災警報器も感知器の構造と煙に反応する感度は同等なので実験結果については大きな誤差はないといえます。
感知器に配線を接続し、火災信号を制御する火災受信機とつなぎます。感知器が作動したら感知器に取り付けてあるLEDランプが点灯します。
実際の火災警戒では煙が多少感知器内部に入ってもすぐ火災と断定しないための機能である『蓄積』というものがあります。今回は作動実験なのでこの蓄積機能を停止させて実験を行います。
実際にやってみた

実験装置にタバコをセット
煙感知器実験装置に点火したタバコを投入し、小型のボックスに煙感知器をセットしました。、徐々に煙濃度が上がってきておりますがまだLEDランプは点灯していないので煙感知器が作動していません。もう少し煙濃度が上がるまで待ってみます。

煙感知器が作動したことによりLEDランプが点灯
結構な煙濃度に到達し感知器のLEDが点灯し、煙感知器の作動が確認できました。ました。冒頭の煙感知器の仕組みでご紹介したように、内部に入った煙が感知器内部に設置した光源を散乱させ、受光部まで光が届けたということになります。
作動したときの煙濃度はかなりのものなので、もし居室内で喫煙しても居室内部でくつろげる状態ではなさそうです。タバコ以外でも魚を焼いて台所の換気扇では煙を排出できずフロアに流出していくことも考えられます。タバコよりも魚のほうが感知器を鳴らしてしまうことが多いのではないでしょうか。今は電子タバコを嗜む方が増えているのでタバコによる誤作動よりも台所からの煙にご注意いただいたほうが良さそうです。
タバコの煙で煙感知器を作動させてみた!!
まとめ
- 煙は高濃度状態で感知器が作動する
- 空気の対流が少ない場所では作動しやすい
- 煙感知器が劣化している場合は薄い濃度でも作動することがある
- タバコはマナーとエチケットが大切
- 工事中などの煙もお気をつけください
参考記事:バルサン、アースレッドに反応する感知器