火災報知器を使って感知器水没実験をしてみた!!【煙感知器・差動式熱・定温式熱】

2020.08.14
煙感知器を水につけてみた画像
定温式スポット型防水タイプの感知器

防水型の定温式スポット型感知器

自動火災報知設備、誤作動原因の1つとして、水によるものがあります。例えば配管から水が漏れて火災感知器にかかってしまったり、建物のビビ割れ部分から浸水してきたり、あるいは結露が原因によるものもあります。

厨房のような水回りでは防水型の感知器を使用するので影響はありませんが、火災感知器は電子部品を使っているので水に強いとは言えません。

今回の記事では感知器と水の関係と実際に水による作動実験を行った様子をレポートいたします。最後に実験動画もあります。

水と感知器

感知器は大きく分けて熱・煙・炎の3種類があります。炎感知器は一般的に使用されていないので今回は、熱と煙の2種類で話を進めていきます。

火災感知器の警報回路では常に+と-で DC24V程度の電圧がかかっています。感知器回路はショートすることで火災信号を発信する仕組みになっていますので水が回路に乗っかると水自体がスイッチの役割になり火災信号を発することになります。

純水は水を通しにくい
ずべての水が電気を通すということではありません。

水は水でも純水は不純物が入っていないので電気を通しにくい性質があります。電子部品が多く使用されているサーバー室などは非常に重要なデータが多く保存されています。もし初期消火で粉末消火器や強化液消火器を使用してしまうと資産であるデータを消失させるおそれがあります。

このような場合は電気を通しにくい純水でできた消火器を使用すれば基盤などの電子部品を守ることができます。

水没実験に使用する2タイプの火災感知器

今回の水没実験に使用する感知器は以下のとおりです。

  • 防水タイプ【定温式スポット型感知器 防水タイプ】
  • 防水タイプではないもの【ベース(カセット式)を使用する非防水型】

定温式スポット型感知器【防水型】水では発報しません

リード線防水処理画像

リード線の防水処理例

この感知器は防水型の熱感知器です。感知器裏側のリード線接続部分が樹脂で固められており防水処理済みです。樹脂が基盤を保護しているため水がかかっても発報することはまずありません。

もしこの感知器が水が原因で作動する場合はリード線の被覆部分に傷がついていたり、感知器と電線の圧着部分がしっかり防水処理ができてない場合で水に浸かっている場合です。防水型感知器の配線接続部分はビニールテープで防水処理をすることで浸水による誤作動を防ぐことができます。

実際に水に浸してみる

定温式を水につける画像

実際に水に浸してみました。1時間以上経過して発報することはありません。防水タイプは水が原因で作動することはまずありません。

非防水タイプの感知器【水により誤作動を起こす】

ベースを使用する感知器画像

ベースを使用する非防水タイプの感知器

次に非防水タイプの感知器です。

一般的に使用されている火災感知器は非防水型です。ベースという土台を天井面にセットし感知器を回転して取り付けることができます。配線はベース自体に接続しDC24Vを供給します。電気が流れているベースに煙や熱の感知器をカセットのように取り付けます。

ベースを使用することで設置する感知器の種類を変更したり、交換作業が簡単に行えます。

実際に水につけてみて作動させてみた

感知器に水を浸して作動させる画像

感知器は火災受信機に接続

実際の自動火災報知設備システムを使用し現場と同じ条件再現しています。

では火災感知器を水に浸けてみたいと思います。水は溶け込んでいる不純物の量により電気を通したり通しにくかったりするので、不純物が多いほど電気を通しやすく発報しやすくなります。

差動式のを水に浸した画像

完全に水に浸けてみました
火災受信機が作動した画像

火災信号を受信した火災受信機

非防水タイプは端子が剥き出しになっているので水をがベースに浸るとす比較的早い段階で火災信号を受信します。火災感知器は作動した感知器が外観から確認できるようにベースや本体にLEDランプが設置されています。

実験では火災信号を受信していながら感知器側のLEDランプは点灯していません。なぜでしょうか?サンプルが1個だと検証が弱いので煙感知器も水に浸けてみます。

次は煙感知器を

煙感知器を水につけてみた画像

煙感知器を水に浸けてみた

火災受信機が作動した画像

火災信号受信を確認

熱感知器と同様に火災信号を受信しました。煙感知器も熱感知器同様にLEDランプが点灯しません。ベースが壊れている可能性があるため強制的にLEDランプを点灯させています。点灯させるには両極を銅線ショートさせてやればOKです。画像にある通りLEDランプは点灯しました。ベースが壊れていないことがわかりました。

ベースのみで強制的に作動させた画像

ベースのみで強制的に発報させてみた

これらの結果から考察すると、感知器が水に浸かるとベースの端子に水がかかり火災信号を発信します。ベースの端子がショートしているだけなのでLEDは点灯せず火災信号のみ発信することになります。

この状況が示すのは水没した感知器の特定が外観からは難しいということです。感知器自体が作動しているのであればLEDが点灯するのですぐわかりますが、ベース端子がショートするとランプが点灯しません。

自動火災報知設備はいくつかメーカーがあるので一概にこの結果が全てとは言えませんが、水没して火災信号を発信することは共通して同じです。

感知器が水にかかったら感知器が作動することがあることを覚えていただけますと幸いです。

あとがき・まとめ

雨季になると自動火災報知設備の非火災報が増加します。屋外に面している開放廊下などは感知器や総合盤に横殴りの雨などで水が入り込むことがあります。

かかった水は乾けば元通りに復旧できますが、慢性的に浸水がある状況下では機器類や端子が腐食することがあるので防水使用の機器を設置するなどの対策や定期的なメンテナンスすで誤作動の予防をおすすめいたします。

実験動画

まとめ

  • 防水タイプは水による誤作動は起きない
  • 感知器のほとんどが非防水タイプである
  • 開放廊下に設置されている総合盤や感知器には注意
  • 定期的にメンテナンスすると誤作動を減らせる

参考記事:緊急事態!火災報知器の誤作動よくある原因【非火災報】

参考法令:消防法施行令21条2項3号

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