地区音響ベルが鳴らない!!交換してみた(原因調査)
2019.12.27
自動火災報知設備の点検をやっていると非常ベル(地区音響装置)が鳴らないことがあります。火災時にベルが鳴らないと避難することができず最悪の結果を招くことは明白です。
音響装置に不良がある場合はできる限りその場で復旧するように試みているのですが、原因によってはその場での改修が難しいことがあります。点検でベルが鳴らない場合はできるだけ早く原因と特定し速やかな改修が重要となります。
ベルが鳴る仕組み
非常ベルは火災受信機から電圧を送ることでゴングに内蔵されている電磁式モーターが作動しベルを鳴らす仕組みです。モーターを動かすために通常DC24Vを使用します。(※常時電気を流しっぱなしでベル鳴動時に極性が入れ替わるタイプもある)
音響装置はモーターに通電すれば鳴るシンプルな直流回路です。なので、ベルが鳴らない場合の原因特定は比較的容易にできるのです。
地区音響ベルがならない原因

ベルが鳴らない原因についてはいくつかありますが、確率が高い方から書いてみます。
- 地区音響ベルが壊れている
- 火災受信機の地区音響用ヒューズが飛んでいる
- 火災受信機の基盤やリレーが壊れている
- 火災受信機~総合盤までの配線が断線
原因はこれらになります。
一番多いのがベルの経年劣化です。特に風通しの良い場所にある非常ベルは駆動部に土、ホコリが溜まりやすくなります。また、飲食店などの油をよく使う店舗では漂った油脂がベルを鳴らす駆動機構の動きを鈍くさせます。このような場合はベルを交換すれば直ります。
原因が特定できない場合は火災受信機のヒューズを確認してみると良いでしょう。最近の受信機はヒューズが飛ぶと自動的にエラー表示が出ますが、年代物の製品ではこのようなエラー表示機能がないものがあります。火災受信機内にある地区音響回路のヒューズを交換すれば復旧することがあります。
配線の断線は確率としては低うので、ベルが壊れているだけなのか、周辺機器が故障しているのかを探していけば大体の原因はみつかります。それでももしベルが鳴らない場合は配線に異常があることになります。
火災受信機のベル端子に電圧があるか
まず先に調べることは火災受信機のベル端子に電圧があるかどうかです。自動火災報知設備が作動した後リレーが働き地区音響端子にDC24Vの電圧がかかるように設計されています(地区音響が非常放送連動の場合を除く)。
受信機によってはあらかじめ電圧をかけてあるものがあります。この場合はベルが作動するときに直流回路のプラスとマイナスが入れ替わるのでテスターで当たって確認すればわかります。
このように火災発報後にベル回路の電圧を測れば火災受信機が原因なのか、受信機より先で問題があるのかを特定できます。もし正常に電圧が乗っかれば、その先の配線が断線しているか、ベルが壊れているかに絞れます。
もし電圧が出ない場合は火災受信機の地区音響用のヒューズがとんでいるかを確認し、ヒューズが正常であれば火災受信機のリレーが故障している可能性があります。
全て正常である場合は受信機の先に設置してある総合盤を確認します。
総合盤で電圧があるかないかを調べる
まず総合盤の蓋をあけて受信機でベル端子の電圧を測った方法と同様にベル端子にDC24Vがかかるかを確認し、端子に電圧が乗っかればベルが故障していていることになります。
電圧がない場合は総合盤から受信機側の配線でで断線があることになります。断線の原因に、線と線を接続している圧着スリーブ内で線が折れていることがあるので同時に確認してみてください。今までの経験では、ベルがならない不良の原因が断線であったことはほぼありませんでした。
今回の原因はベルでした
ということで今回の原因はベルの劣化によるものと断定できました。ベルは基本的に総合盤の内部に収納されているので外からは見ることができません。屋外に設置してある場合は雨風に乗っかった土やホコリが蓄積します。
ベルの裏側にはモーター機構による駆動装置が設置してありこの部分に土、ホコリが溜まると正常に動かなくなります。また、ゴングに土が着いてしまうと音圧が下がってしまうので定期的な清掃も必要になります。
地区音響に関する法令の基準は消防法施行規則第24条に記載されています。