乙種6類を取得しよう①②【消火器が必要かどうか?】 

2019.12.04

消防設備士乙種6類『おつろく』は、13種類ある消防設備士試験の中で一番受験者数が多く、登竜門的な存在です。

乙6は消火器に関する整備・点検を行うために必要な資格で、消防設備を知るはじめの1歩としてはかなりオススメできます。これから消防設備士になる方の学習サブ的参考材料として、少しでも役に立てれば嬉しく思います。

消防設備士試験でまず覚えてほしい例別表第一

消防設備士を目指すことが決まったらまず覚えてほしいものが「消防法施行令別表第一」です。消防法令では建物のジャンルを20項目に分類してグループ分けを行っています。そのグループ分けに応じて各種消防設備の設置基準などの規制をかけています。

例えばホテルや旅館は人命に関するリスクが高くなることから非常に厳しい規制がかけられることになります。一方、事務所ビルのような用途では比較的火災に関するリスクが低いこともあり規制が緩くなります。

例別表第一のグループ分けは消防設備士資格には欠かせない知識です。タイムラン自作の語呂合わせ歌で一気に記憶していただければ嬉しく思います。

乙6試験のおすすめ勉強方法

学習していく順番と概要

消防設備士資格で私がはじめに取得したのは乙種6類でした。

消防設備業界に入ってからそれなりの年月が経過しましたが、今でも乙6試験の内容はほぼ変わっていません。

ただ、現在は圧倒的に教材が増え参考書自体がぶ厚くなった気がします。自分は厚い本で知識を詰め込むよりも、薄い本を徹底的に繰り返す方が効率が良いと考えています。基本をしっかり押さえれば確実に合格ができる資格なので自分のスタイルでがんばってください。

また、勉強はアウトプットを中心に行うことをおすすめいたします。参考書を見て書くのも良いですが、問題を繰り返し解くことをオススメいたします。問題を解くメリットはアウトプットが前提になる記憶法なので確実に知識が定着します。理解ができなければ理屈抜きに覚えてしまえばよいのです。

私がやっている勉強法が参考になるかはわかりませんが手順を紹介します。

  1. 概要をつかむため参考書を1周2周読んでみる(理解できなくてOK)
  2. 問題集を解く(わからないところは参考書)
  3. 問題集を解く(わからないところは参考書)
  4. 問題集を解く(わからないところは参考書)

これらを繰り返せば確実に知識が増えていきます。コツは余計なことを覚えようとしないことです。問題集を繰り返し解いてくたびに知識が増え、知識の土台の上に新しい知識が積み重なっていくというものです。

知識には階層があって基礎がなければなかなか理解できないものがあります。はじめから高度な知識を身につけようとするのは時間対効果が悪すぎるので1つ1つ丁寧に知識を積み重ねる必要があります。

正しく継続すれば間違いなく合格できますので一日一日を大切に頑張っていただければ嬉しく思います。

それでは、乙種6類の学習目次は以下のとおりです。

  1. 消火器が必要になる用途と面積『今回』
  2. 地下・無窓階・3階以上の基準『今回』
  3. 消火器を何本設置するか?『単位面積』
  4. 消火器を何本設置するか?『消火器の能力単位』
  5. 消火器の付加設置が必要な場所について
  6. 消火器の歩行距離と設置する高さ
  7. 消火器の種類と適応性
  8. 火災の種類『A火災・B火災・C火災』
  9. 大型消火器について
  10. 能力単位を減らせる場合
  11. 自動車用消火器について
  12. 消火器の放射能力
  13. 使用温度・耐食・厚さ
  14. キャップ・プラグ・パッキン
  15. ホース・ノズル・ろ過網
  16. 安全弁・使用済表示など
  17. 携帯運搬装置・安全弁など
  18. 圧力調整器・指示圧力計
  19. 加圧源ガス・その他内部部品
  20. 本体塗料・表示について
  21. 消火器の内筒
  22. 二酸化炭素充填比率
  23. 本体塗色・表示について

乙6の学習には上記以外に『関係法令』『機械の基礎知識』『鑑別問題』が出題されます。消火器に関する法令はこのブログで書いていく内容になっています。受験する方に少しでも参考になるよう語呂合わせを交えて書いてみます。

①消火器が必要になる用途と面積

原状復帰画像

消火器は法令により設置基準が設けられています。まずは消火器が『必要』か『不要』かを選別します。必要、不要かは建物の『用途』と『面積』によって決まります。用途については冒頭に書いた「令別表第一」によって分けられています。

消火器を設置する上での3つのグループ分け

消火器の設置が必要になるパターンは次の3つです。

  1. 絶対に設置が必要な用途  【グループ1】
  2. 延べ面積150㎡以上で必要になる用途  【グループ2】
  3. 延べ面積300㎡以上で必要になる用途  【グループ3】

まず初めに「問答無用で必要な用途」「延べ面積150㎡以上で必要な用途」「延べ面積300㎡で必要な用途」に分けていきます。ここで注意したいのが面積は延べ面積です。床面積ではありません。

面積基準でよく混同するのが延べ面と床面です。延べ面積は建物全体の面積を指しており、床面積はその部分の面積を指しています。例えば、延べ面積300㎡の共同住宅の3階部分の床面積が100㎡のような感じです。

その建物の用途は何なのか?そして延べ面積は何なのか?に当てはめて消火器が必要かを考えていきます。

【グループ1】絶対に設置が必要になる用途

まず最初のグループ1には絶対に消火器の設置が必要です。

  • 劇場 【映画館 演舞場 演劇場】 1項イ
  • キャバレー、遊技場、性風俗、カラオケ 2項全て
  • 飲食店(※150㎡未満で火を使用する設備や器具を設けていないもの又は、防火上有効な対策がとられているものは不要)
  • 老人福祉施設 ※デイサービスを除く 6項イ・ロ
  • 地下街 16項の2 16項の3
  • 文化財 17項

以上は問答無用で設置が必要になります。強制です。これらの用途は火災発生リスクが大きい用途のため厳し目に基準が設けられています。

これらを暗記するまえに「令別表第一」を覚えてから学習することをおすすめいたします。イメージがしやすくなると思います。

語呂合わせ


歌舞伎(重要文化財)町のキャバ嬢(2項)老人福祉施設に寄ってから地下街で映画同伴

※(2項)キャバレー、遊技場、性風俗店舗、カラオケ、個室ビデオなど

【グループ2】述べ面積150㎡以上で必要になる用途

  • 集会場
  • 百貨店
  • 旅館・ホテル
  • 共同住宅
  • 病院
  • デイサービス
  • 特別支援学校
  • 蒸気風呂
  • 一般浴場
  • 工場
  • スタジオ
  • 車庫
  • 格納庫
  • 倉庫

これを暗記する必要はありません。消去法で覚えるのでここはパスします。

【グループ3】述べ面積300㎡以上で必要になる用途

  • 学校
  • 図書館
  • 車両停車場
  • 神社
  • 事務所・美容室・エステ・整骨院など 15項
語呂合わせ


学校の図書館車両安全お守りを拾って事務所へ届けた

こんな状況はありえないと思いますが学校、図書館、車両停車場、神社、事務所等の用途に設置する場合は床面積300㎡以上で設置義務になります。

グループ2はたくさんあって覚えるのが大変なので、グループ1とグループ3を語呂合わせで覚えてしまうのが手っ取り早いと思います。

②地下・無窓階・3階以上

前回までは3つのグループ分けについて見てきました。『強制で必要』『床面積150㎡で必要』『床面積300㎡で必要』の3つです。表にまとめると下記のとおりです。

第1グループ 必ず設置する
第2グループ 延べ面積 150㎡以上
第3グループ 延べ面積 300㎡以上

これが『地下』『無窓階』『3階以上』に該当する場合はさらに規制が強化されます。

地下、無窓階、3階以上になると火災による損害リスクが高まるため、より消火器による初期消火活動が重要になります。

第1グループ『地・無・3階』 必ず設置する
第2グループ『地・無・3階』 床面積 50㎡以上
第3グループ『地・無・3階』 床面積 50㎡以上

この『無・地・3』の面積は床面積です。延べ面積と混同しないように注意してください。

例を1点上げてみます。延べ面積250㎡のアパートがありました。このアパートは3階建てで各階の面積が83㎡になります。

アパートは共同住宅になり延べ面積300㎡以上で設置が必要になるため全体としては不要です。しかし3階以上の階の床面積が50㎡以上あるため3階部分に消火器の設置が必要になります。

設置例

延べ面積280㎡の学校があります。階高は地上3階地下1階建てです。
それぞれの階の床面積は各70㎡です。
2階は無窓階で、1階と3階は普通界です。

この条件から消火器の設置基準に当てはめます。まず学校はグループ3に該当し『延べ面積300㎡以上』から消火器の設置が必要になります。なので建物としては不要です。

次にもう一つの基準『無・地・3』に当てはめると、

  • 地階:50㎡のため必要
  • 1階:普通界のため不要
  • 2階:50㎡の無窓階のため必要
  • 3階:3階以上で50㎡以上のため必要

となります。このように建物に消火器が必要かどうかを決めていくことになります。

建物に消火器が必要になったら次はその建物に消火器を何本設置するかを決めることになります。これも法令の基準により定められています。

ここが出る!【回答はまとめの後】

延べ面積に関係なく消火器背を設置しなければならない防火対象物として次のうち誤っているのはどれか??

  1. 地下街
  2. 映画館
  3. 図書館
  4. 病院

次の防火対象のうち消火器具を設けなくてよいものはどれか?なお、面積は延べ面積とする

  1. 150㎡の幼稚園
  2. 140㎡の重要文化財
  3. 300㎡の学校
  4. 140㎡の工場 

まとめ

  • まずは建物の用途と延べ面積を確認する
  • 次に『無窓』『地下』『3階以上』に該当するか確認する
  • 上記を確認し消火器が必要かどうかを判定する

次回は消火器を何本設置するかについて書いていきたいと思います。
次回:乙種6類を取得しよう③④【単位面積・能力単位】

問題の答え

Q1、【3】
歌舞伎(重要文化財)町のキャバ嬢(2項)が地下街の老人福祉施設に寄ってから映画同伴

Q2、【4】 

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