今回の海外の設備シリーズはスリランカです。スリランカはインドの南東部に位置するセイロン茶が有名な島国で、シギリヤロックやダンブッラ石窟寺院など8つの世界遺産を持つ歴史豊かな国です。
2022年の経済危機を乗り越え、JETRO記事によると2024年第2四半期に建設業が前年同期比15.5%成長し急速に復興しています。また経済の中心地コロンボでは269ヘクタールの埋立地「ポートシティ・コロンボ」など大規模開発が進行中です。
そんなスリランカからレポートが届いたので紹介してみたいと思います。
スリランカの消防設備
スリランカの人口はおよそ2,190万人(2024年時点)。数字だけ見ると中規模の国ですが、中心部コロンボに足を踏み入れるとその密度の濃さに少し驚かされます。面積は約37平方キロメートルと杉並区とほぼ同じ(スリランカ大使館HPから引用)なのに、そこに約75万人が暮らしています。人口密度は2万人/km²を超えるため過密状態になっています。※マカオやモナコと同じくらいの人口密度
屋内消火栓
消火栓はSteel Recon Industries Sdn Bhd 社の製品が設置されていました。SRI社は1974年にマレーシアで設立され、世界70カ国で代理店展開をしているワールドワイドな企業です。
『FIRE HOSE CABINET』消火用ホース容器と書いてあります。中身を確認することはできませんが、左上に鍵が見えます。おそらく保護プレートを破って鍵を取り出し解錠して使用するのでしょうか。日本の設備の場合緊急を要し、すぐに使用できることが求められており鍵を設置した設備はほとんどありません。
鍵を開けリールに巻いてあるホースを伸ばしきりコックを開け放水するといった手順なのでしょうか。写真を見る限り新しく設置されたものと思われます。
消火器
左から『POWDER 粉末消火器』『CO2 二酸化炭素消火器』『WATER 水消火器』『CO2 二酸化炭素消火器』です。二酸化炭素消火器以外は圧力ゲージが設けられており蓄圧式の消火器であると判断できます。CO2消火器はそのままCO2を放出する消火器のため二酸化炭素が蓄圧されています。
日本の消火器と違うところは消火器の色です。消火器は25%以上を『赤』で仕上げることになっております(家庭用消火器を除く)。なので黒の消火器は日本では家庭用以外お目にかかれません。また二酸化炭素は高圧ガス法により容器を緑色で仕上げることになっており、二酸化炭素消火器の場合は『緑・赤』で塗装された容器で出回っています。ちなみに高圧ガス容器の黒は酸素ガスボンベで使用されています。多種類の消火器を同じ場所に設置されており意識の高さが伺えます。
右側の二酸化炭素消火器は、1961年に設立されたスリランカで消防設備サービスを提供しているALPEX社の製品です。
警報設備

警報設備は『PUSH BAR / PULL HANDLE』とあります。棒を押してハンドルを引いて使用するようです。上のバーを押し込むことで保安装置が奥に押し込まれ、下側のレバーを引っ張ることができる仕組みのようです。日本の製品は強めの力で押し込む1動作式ですが、設置されているものは2動作で信号を発信する仕組みです。
この火災信号発信機は1973年に設立された『Secutron社(セキュロン)』の製品です。セキュロン社はカナダ、トロントに本社があるファイヤーアラームを主軸とした企業です。全米防火協会(NFPA)、カナダ火災警報協会(CFAA)など北米の業界団体だけでなくインド消防保安協会(FSAI)にも加盟しており幅広い流通ネットワークを持っています。
誘導灯
誘導灯は海外ではおなじみの『EXIT』文字です。表示面の上部にバッテリーユニットが確認でき、電源供給用の配線が確認できます。画像撮影時に表示面のランプは点灯しておらず、非常時のみ点灯するタイプということがわかります。器具は比較的新しかったので故障により点灯していないことはなさそうでした。
さいごに
今回はスリランカの消防設備をご紹介させていただきました。今後も定期的に海外の設備についても書いていきたいと思います。
参考ブログカテゴリ:海外の消防設備