無線式自動火災報知設備の仕組みを解説・一般用と特定小規模施設用

2025.03.18

無線式の自動火災報知設備には 2種類あることをご存知ですか。

今回は一般型無線式自火報と 特定小規模施設用無線式自火報の 仕組みと使い分けについて 現場経験をもとに解説します。

※今回ご紹介する一般型無線式自動火災報知設備システム「エアシリーズ」は生産終了となり施工不能です。

2種類の無線式自火報としくみ

自動火災報知設備には有線式と無線式の2種類があります。消防設備は非常用の設備のため確実に作動させる必要があるため火災報知システムに使用するすべての機器を警報用配線でつなぐ方法が一般的でした。

技術の進歩にともない無線式の火災報知システムを使用することが法令で認められるようになりました。現在は無線式の自動火災報知設備は2種類あります。1つは「無線式の自動火災報知設備」2つ目が「特定小規模施設用自動火災報知設備」です。

  1.無線式自火報 2.特定小規模施設用無線式自火報
構成パーツ 受信機、総合盤、中継機、発信機 感知器のみ
システムの特徴 受信機~総合盤間は配線が必要
総合盤~感知機間は無線式
感知器に送受信機、音響装置がついてあり、1つの感知器が作動したら残りの感知器も連動して警報を発する。
どのようなときに使用するか 配線工事が困難なとき 特定小規模施設用であるとき
主な使用用途 すべての建物 民泊、福祉施設など

1つめの無線式の自動火災報知設備は有線式の自動火災報知設備を改良したもので火災感知器の回路のみを無線式で施工することができます。システムの特徴は火災受信機~ベル、ランプ、発信器(押しボタン)を収容する総合盤までの回路は有線で行います。総合盤付近に電波を飛ばす中継機を設置し各々の火災感知器まで電波を飛ばします。(ホーチキ社エアシリーズの例 2025年販売終了)

2つ目の特定小規模施設用自動火災報知設備は特定小規模施設のみで使用できるシステムで感知器に音声警報を内蔵し火災を感知したらすべての感知器が連動して警報を発するシステムです。このシステムは自動火災報知設備に必要な火災受信機とベル、ランプ、発信器(押しボタン)を収容する総合盤を設ける必要はありません。感知器を設置するだけで完結できる簡易的なシステムです。

特定小規模用感知器は設置できる数が15台ほどと制限があるため15台以上で使用したいときは中継機を使用することで増設が可能になります。感知器の通信は親機と子機の間で行われます。増設するときに親機同士を接続する中継機を使用しシステムを形成していきます。

無線式のメリットとデメリット

無線式自火報でも幹線は有線となる

有線式は電源の供給が途切れることがなく確実な警戒を実現できる一方で配線に手間がかかり既存物件に新設する場合は露出工事になるケースがあります。

無線式のメリットは感知器間の配線が不要のため非常に綺麗に仕上げることができる一方で機器類の価格が高価のため総施工費が高くなることがあります。

  有線式 無線式(特小を除く)
メリット 常に電気を供給しているため周辺機器に異常がないければシステムが稼働し続ける 施工が有線に比べて格段に容易である
デメリット

施工に時間がかかる
露出工事になることがある

機器類が非常に高価
電池交換が必要(約10年)

 

特定小規模用の無線感知器について

特定小規模用は非常に簡易的なシステムのため施工費が安価かつ非常にきれいな仕上がりになります。もし設置する防火対象物が特定小規模施設である場合はこの無線式感知器一択となります。

2024年の法令改正により「特定一階段等防火対象物」にも使用することが可能となりました。特定一階段等防火対象物に設置する場合はやや電波状況が不安定になりがちですが、もしその辺の問題がクリアできるのであればこのシステムを導入したいところです。

経験上開口部の大きい木造や鉄骨造は設置が可能でした。横方向の通信で扉を2枚またぐ(居室2つとばし)あたりから通信状況が悪くなる傾向にあります。

一般型無線式自火報の周辺機器と施工の制約(ホーチキ社エアシリーズ)

一般型無線式自火報システムの無線パートは「受信用中継機」「電波中継機」「無線式感知器」の3機器で構成します。受信用中継機は受信機からDC24Vを供給することにより電波を発することができます。電源が必要なのでここまでは有線工事が必要になります。

 

受信用中継機以降は電波通信を行います。受信用中継機1個に対して感知器は8台まで接続することができます。9台以上感知器を設けたい場合は受信用中継機を追加しなければなりません。

受信用中継機と感知器の通信状況が悪い場合は電波中継機を設置することができます。この電波中継機は受信用中継機1個に対して2台まで設置することができます。この辺がややこしいところです。

もう1点、受信用中継機→電波中継機→感知器という流れで通信を行いますが電波状況が悪いからといって、受信用中継機→電波中継機→電波中継機→感知器という電波中継機をダブルで使用する接続はできません。このあたりの基礎設計が少しむずかしいところです。

無線式の電波レベルについて

電波中継機

無線式システムを使用する場合電波強度が非常に重要になります。もし電波が不安定になったら火災受信機で断線エラーが出てしまいます。より強力な電波をキャッチするように機器類を配置していく必要があります。※72時間通信が途絶えると断線警報が出る仕組みとなります。

受信用中継機と無線式感知器

電波強度はレベル1からレベル8まであります。システムを使用するには電波レベルが5以上でなければ使用することができません。仮にレベル5で設置したとしても居室内の模様替えなどにより電波状況が悪くなる恐れがあるので最低でも6以上はほしいところです。弊社は基本設計で7以上になるように施工しています。

まとめ

今回は2種類の無線式の自動火災報知設備を紹介しました。残念ながら今回ご紹介した一般型無線式自火報「ホーチキ社エアシリーズ」が生産終了になってしまいましたが、2024年の省令改正により特定小規模施設用の無線式が様々な場所で使用できるようになりました。

建物の条件にもよりますが選択肢は有線式だけではありませんのでご参考にしていただければ幸いです。

・無線式自火報は2種類ある(ホーチキ社エアシリーズは生産終了)
・特定小規模用は感知器だけでシステムが完結できる
・2024年改正で特定一階段にも使用可能
・RC造など電波が届きにくい場合は有線式を検討する必要がある

総務省消防庁:無線式自火報設備の運用について

この記事の監修・執筆者
株式会社タイムラン代表
株式会社タイムラン代表 / 消防設備士・電気工事士・行政書士
村串 大輔
2005年より消防設備業界に携わり、2011年に株式会社タイムランを設立。自ら現場に立ち、自動火災報知設備やスプリンクラー、避難器具など、電気系から消火系まであらゆる消防設備の施工を数多く手掛ける。
2023年4月にはタイムラン行政書士事務所を開設し、現場知識と法務の両面から防災をサポート。これまでに手掛けた消防関連の申請届出は3,000件以上。現場のことはお任せください。
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