
撤去の目的
自動火災報知機、非常放送、消火栓、スプリンクラーなどを撤去することがあります。どのような場合に撤去が必要かというと、テナント退去でスケルトンに戻す必要ががるとき、店舗改装などで消防設備を移設増設するときで、内装に何らかの手を加える必要がある時に行います
飲食店や物販店舗などの事業用物件ではテナントが入れ替わるときに区画割を作り直すことがあります。その場合は一度や天井を解体することになります。
解体は解体業者が行いますので、解体時に自動火災報知設備やスプリンクラーを適切な状態にしておかないと消防設備が作動するおそれがあります。
ここでいう撤去とは、設置してる器具などを取り外すことを言います。私たち消防設備業では、改装工事や改修工事を行う際、工事中に火災報知機が作動しないように、あらかじめ感知器や対象の設備を取り外し適切に処置することが求められます。
撤去しなかったらどうなるか
撤去せずに解体工事を行うと、解体時に出るホコリやチリで煙感知器が作動します。その時に非常ベルやサイレンが鳴り、通行人が火災と勘違いし消防署に通報することが想定されます。
実際に身近な人に聞いた話で、通行人の通報により消防車が現場に来て大問題になったそうです。内装工事中に火災感知器に触れたら作動しまうこともあるので、消防設備が絡む工事を行う場合はあらかじめ撤去などの適切な措置を行うことが非常に重要になります。
自火報システムの構造と外部への通報
『自動火災報知設備』は火災受信機という機械で制御されています。火災受信機が、煙や熱を感知した時に信号を受信し、各階に設置されている非常ベルに電気を送り鳴動させます。
ビルによっては非常ベルだけでなく、火災信号をビルの外部へ飛ばす仕組みを取っていることがあります。例えば、火災通報装置を使い消防署に自動通報を行うときまたは、警備会社と契約している場合で、火災信号を警備のコントロールセンターに飛ばしたり。様々な信号を外部に飛ばすことができます。
適切な処置をしないと後から始末書あるいは、損害賠償を請求されることもあるのであらかじめチェックすることをお勧めいたします。
撤去するときの注意点
撤去する際の注意点は、他に使用しているエリアの感知区域が機能停止にならないようにする必要があります。
ワンフロア1テナントで入居している場合は特に問題にはなりませんが、1フロアに複数のテナントが入居している場合は、各々独立してた警戒区域で運用しているとは限りません。
事前に警戒区域図を確認し、同じフロアの隣接するテナントなどで、同様の警戒区域に設定されているか否かをしっかり確認した上で実施することが重要です。
消防署届出について
自動火災報知設備を工事する場合、消防署に届出をする必要がありますが、撤去作業自体には届出義務はありません。※大きい施設や特殊な施設によっては必要な場合があります。
撤去後には再取り付けする必要があるのでそのときには設置届が必要になります。新たに設置工事を行う際は、管轄する消防署へ『概要表』『設計図面』『系統図』『承認図』、現場の地図を添付した『着工届』を提出します。
着工届は工事の10日前までに提出する必要がありますが、規定個数未満の場合は、省略できる場合があります。