断線の仕組みと対処法【自火報】

2020.02.11
断線のしくみ

自動火災報知設備のエラーの中で厄介なのが断線エラーです。断線が発生すると受信機で該当エリアの表示が点滅し警報音が鳴り出します。

断線した回路の感知器は正常に作動しなくなるため、断線状態をそのまま放置することは非常に危険です。現場で断線エラーに出くわしたとき「どこが切れているのか」「どうやって特定すればいいのか」と頭を抱えた経験がある方も多いのではないでしょうか。

今回は断線の仕組みから特定方法・対処法まで現役消防設備士が解説します。

断線信号の仕組み

火災感知器の回路の末端には「終端抵抗」「終端器」と呼ばれる抵抗が設置されています。
※一部の感知器は感知器に終端情報が入っているものがあります。

火災受信機はこの終端抵抗の値を常時監視することで断線を検知します。


終端抵抗がついているかはテスターにて判別【能美防災社用の終端抵抗】

画像をごらんください。赤い線から抵抗をくぐり白い線に戻っていく回路です。この回路の折り返し地点(終端)に10kΩの抵抗があります。

赤線の始点と白線の終点をテスターで計測すると当然に10kΩの数値がでます。なので、もしどこかで断線がおこった場合、感知器回路の線間の抵抗値を計測します。はじめに説明した通り線間には終端抵抗分の抵抗値10kΩがあるはずですが、断線があると抵抗をくぐらなくなるため抵抗値がでなくなります。

火災受信機は終端抵抗の有無で断線を判別する大変シンプルな構造です。(通常現行の終端抵抗は10kΩを使用しますが、古い受信機に使用しているモノでは5kΩ、その他の数値であることがあります)

このように火災感知器の回路の端末には断線を判別させるために終端抵抗や終端器と呼ばれる終端器が設置されています。(R型の感知器のような個別感知器を識別できるものには終端器が接続されないこともある)。

この画像はよく一般的に広く使用されている10kΩの抵抗です。メーカーや型式によっては違いがありますのが、10kの抵抗を終端器として採用しているケースが多いです。

主要4メーカーの現行終端器

  • 能美防災社   10KΩ
  • ホーチキ社   10KΩ
  • パナソニック社 10KΩ
  • ニッタン社   専用CRE【コンデンサ】

メーカーよって設計思想が異なりますので終端器の仕様は統一されていません

断線箇所を特定するには発報試験と電圧チェック

受信機窓
現行受信機は断線は表示等が点滅する

火災感知器回路には常に直流の電圧がかかっており、断線が起こった先には電気が供給されず火災感知器が作動できなくなってしまいます。

断線箇所をピンポイントに特定することは、感知器の配置や現場状況により可能だったりします。電圧がかかっている感知器は試験機を使えば作動するため、作動する感知器と作動しない感知器の境目を探していけばあらかたどのエリアで断線があるのかがわかります。

エリアの特定ができたらその周辺の感知器を取り外し接続部分を確認します。火災報知器回路は4芯を使用した回路でシステムを構成するため、4本それぞれの配線にしっかりと特定の電圧(24V周辺の値)が乗っかっているかを確認します。

しっかりと感知器の端子やリード線に回路配線が接続されているかもチェックします。感知器に電圧がかかっている場合、次の感知器に送る配線にうまく電圧が乗っかっていないことがよくあります。

・感知器のベースが腐食して接触不良
・送り配線の圧着部分が根本で銅線が折れている
・防水式感知器のリード線と回路配線の銅線が接触不良

また配線自体が切断されることで 断線エラーが発生する場合があります。 銅線が断線するには それなりの力が必要です。 天井内に転がっている配線が 自然に断線することは考えにくく 何らかの原因が必ずあります。

現場経験上 原因として多いのは以下の2つです

① ネズミによる噛み切り
天井内にネズミが侵入して配線を噛み切るケース。この場合は1箇所だけでなく複数箇所が被害を受けていることが多く部分修理では再発する可能性があります。

② 人為的な切断
工事や改修の際に誤って切断してしまうケース。天井の張替え時に配線をビスで打ってしまった、あるいは線が邪魔で意図的に切断した等あります。どちらの場合も被害箇所を特定したら配線の引き換えを検討した方がよさそうです。

その他よくある断線原因

信号線
芯線に傷が付けば折れやすくなる

断線原因でよくあるのが配線の接続部分が折れていることです。感知器回路は1.2ミリ、0.9ミリの銅線を使用しているため被覆を剥く際に芯線まで傷をつけてしまい折れやすい状態になります。

そうなると時間の経過とともに何らかの拍子で折れてしまうことがあります。断線改修をしていると根本から配線が折れているケースが非常に多かったです。

エリアがわかったら配線を引き換える

火災報知機用の線

配線は天井の中に埋まっているので断線箇所は1箇所とは限りません。もしネズミが原因で断線がおこったら、その配線はおそらく著しく劣化しているものと考えられます。そのような場合は、調査に時間をかけるのではなく、さっさと配線を引き換えてしまったほうが合理的です。

部分的に修理してもいずれまた断線が発生し、何度も何度も修理することが想定されます。参考記事:ネズミにかじられた自火報配線

工事中や点検中に起こる断線エラー

 制御基板

工事や点検中に全く関連がないエリアで断線エラーが出てしまうことがあります。この手のエラーは何年も消防設備業務を経験した方ならわかると思いますが非常にまれに起こります。

そういった場合の原因は

  • 火災受信機の基板が故障している
  • 配線が切れかかって、ついたり離れてたりしている

のいずれかになると思います。原因が基板であれば火災受信機の電源とバッテリーを外して再び電源を入れ直せば復旧することがあります。

※受信機の電源操作は独自の判断でお願いします。あくまでも断線が消えることがあるという意味で書いています

断線でお困りの際は お気軽にご相談ください。

まとめ

  • 断線は終端器という抵抗や機器で断線を警戒している
  • 断線の特定は試験機で感知器を作動させ、感知器を取り外し調査する
  • 端子や圧着箇所が原因のケースが多い
  • 配線の芯線に傷がつくと折れやすくなり断線の原因になる

自動火災報知設備の幹線を誤って切断してしまったときの復旧模様を記事にしていますのでよろしければ御覧ください。

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