INTERSCHUTZ 2026|ドイツ・ハノーファーの消防見本市レポート②

2026.07.14

ドイツ・ハノーファーで開催された約5年に一度の国際的な消防見本市「INTERSCHUTZ 2026(インターシュッツ)」に参加しました。

2つ目の記事として、屋外展示や、会場の雰囲気について現地で撮影した写真とともに紹介します。

1つ目の記事で、INTERSCHUTZの概要や、屋内展示についてまとめています。

こちらも是非ご覧ください。

INTERSCHUTZ 2026|ドイツ・ハノーファーの消防見本市レポート①

屋外展示の迫力

ホール13を見た後、屋外展示に進むと、多くの消防車両が展示され、さまざまなイベントも開催されていました。

会場全体を見渡すと、その規模の大きさと迫力に圧倒されます。数え切れないほどの消防車両が、所狭しと並んでいました。

計測したところ、今回の展示エリアの一番奥から入口まで、早歩きでも20分ほどかかりました。

これでも全てのホールを使用しているわけではないため、ハノーファー・メッセが世界規模と言われる理由がよく分かります。特に目立っていたのは、はしご車の展示です。

写真中央はRosenbauer社のL43A-XS(先端屈折式はしご車)で、作業高さは最大43mです。1

 

事故現場を想定したHolmatro社の展示

Holmatro社のOmniShoreは、事故車両や倒壊のおそれがある構造物を固定し、災害時の二次被害を防止するショアリング材です。
支持棒同士を接続することで様々な用途に対応することが可能で、レスキュー用の支点を構成することもできるそうです。

ドイツの消防士向け防護服ブランドであるS-GARDが主催する、SAFETY TOURという実践型訓練プログラム

参加者は事故車両からの救出を想定した状況で、ドアの解放について説明を受けています。

 

ZIEGLER社のTLF3000は、水利の確保が難しい場所や山火事などで活躍するタンク消防車であり、消火用水を現場へ運び、初期消火や水供給を担います。

ひときわ目立つ消防・救助用高所作業車

Bronto Skylift社の消防・救助用高所作業車で、最大作業高さは104m2

Bronto Skylift社は、株式会社モリタホールディングスの連結子会社だそうです。

場内では、来場者を乗せて高所まで上げるという体験型のイベントが行われており、先端屈折型はしご車やリフターの上下動などを体験することができます。

一番高くなると、カメラに収まりきらないほどの高さになります。

安全ロープは着用していましたが、非常に高い位置まで上がるため、日本ではなかなか見られない大胆な体験型展示だと感じました。

消火・救助・整備を担う列車「Servicejet」

黄色い車体が印象的な、Stadler Rail Group(シュタッドラー・レール)社のServicejet

スイスのシュタッドラー・レール社がÖBB(オーストリア連邦鉄道)向けに製造した車両で、消防車が活動できない長距離トンネル、特にオーストリア南東部のコーラルムトンネル(全長約33km)の火災を想定しています。

コーラルム線は2025年12月に開業しており、Servicejetも順次運用を開始しているそうです。3

消火・救急活動だけでなく、トンネル清掃・故障した車両への電力供給・技術支援や保守作業も可能です。

全長(連結器含む):68,090mm

構成:3両編成

外観は黄色い車体が特徴的で、内部はホースや油圧カッターなどの道具を備えたスペース、隊員たち専用のベンチ、コックピットに分かれていました。

コックピットには、サーマルカメラの映像を映す液晶パネルが確認でき、視界が悪いトンネル内での活動に適した設備を搭載していました。

会場の雰囲気について

出展企業はやはりヨーロッパの国が目立っていた印象です。

他には日本やトルコ、中国、インド、韓国、などの企業が出展していました。

特に中国ブースは企業の数が多く、ヨーロッパ諸国のみならず世界中から企業が集結していることから、消防・防災業界の盛り上がりを感じました。

また来場者はお酒を片手に展示やイベントを楽しんでいたり、展示企業が軽食やお酒を振る舞っていたりしていました。

企業がお菓子を出すことはあると思いますが、飲食をしながらというのは珍しいのではないでしょうか。

ビール大国のドイツならではかもしれません。

規模の大きさ、展示の迫力、実機の存在感を感じることができ、現地でしか味わえない素晴らしい体験ができたと思います。

世界の消防・防災分野を直接見たことで、海外製品との比較や日本特有の危険性は何かを考える機会が増え、業務に対して新しい視野を持つことができました。

番外編 消防車の再利用について

長岡消防という4文字が、目に止まりました。

撮影時は気づかなかったのですが、消防徽章がフロントバンパーの上についています。

消防徽章の中でも、この形は消防団章であり、桜の花が日本の象徴や、郷土愛護の精神を表しています。4

この車両の展示企業であるRössle(レスレ)社のホームページを調べてみると、新潟県の長岡市で使用されていたこの車両は、Rössle社が2025年にオークションで入手し、ドイツへ輸送されたそうです。5

現在は車両を改造し、消防用給水機の展示車両として使用されています。

日本ではこの他にも、国内で使用に適さない消防車両を海外へ寄贈する取り組みが定期的に行われており、資源の有効活用にも寄与する素晴らしい活動だと感じました。6

※Rössle社はドイツ・バイエルンに本社を置き、水・泥の吸引処理機器を専門とするファミリー企業で、消防分野では洪水や漏水、消火活動後に建物に残る泥水を吸引、排出する機器を展開しています。

まとめ

INTERSCHUTZは消防、救急、防災、予防、通信など消防防災業界を横断的に見られる展示会でした。今後の記事では、火災予防設備の基準や実演展示、予防設備、現地で得た学びについて詳しく紹介したいと思います。

  1. Rosenbauer社公式サイト上のL43A-XS関連記事
    https://www.rosenbauer.com/en/products/vehicles/aerials/aerial-ladders ↩︎
  2. INTERSHUTZ関連記事より
    https://www.interschutz.de/product/bronto-f-hla-range/523305/C556024#
    ↩︎
  3. INTERSHUTZ関連記事より
    https://www.interschutz.de/event/presentation-of-the-firefighting-an-rescue-train-obb-servicejet/pvf/236232?utm_source=chatgpt.com
    ↩︎
  4. 大和市公式サイトより ↩︎
  5. Rössle社公式サイト上の展示車両関連記事
    https://www.feuerwehr-sauger.de/messefahrzeug/ ↩︎
  6. 公益財団法人 日本消防協会公式サイトより
    https://www.nissho.or.jp/efforts/kokusaikyoryoku/kokusai-recycle-jp.html ↩︎
この記事の監修・執筆者
桐井 航汰
学時代は法学部に在籍し、卒業後はインフラ系のシステムエンジニアとして社会人経験を積みました。その後、消防設備が持つ将来性や「人々の安全を守る」という仕事の意義に強く惹かれ、タイムラン防災に参画いたしました。 将来的には、消防設備業務と行政手続きを横断的に支えられる新しい消防設備業者の形を目指します。 タイムラン所属行政書士。
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