防火管理者が必要と言われたときの対処法|選任までの手順を行政書士が解説

2022.01.04
オンライン消防点検

消防署から「防火、防災管理者を選任してください」と言われたら、まず防火、防災管理者資格を取得して防火管理者選任届と消防計画を消防署まで届け出る必要があります。

消防署の立ち入り検査や通知書が届き「防火管理者」を選任するよう命じられることがあります。防火管理者とは火災等の被害を防止するために必要な業務に従事する責任者で、防火に関する業務を指揮監督します。

突然言われても何から手をつければいいかわからない方も多いと思います。今回の記事では防火管理が必要になったらどのように対処すればよいかの2手順をご紹介します。

消防法 第8条

特定の建物の管理権原者は、防火管理者を選任し、消防計画の作成・訓練の実施・消防設備の点検整備・火気の監督・避難施設の維持管理・収容人員の管理など、防火管理上必要な業務を行わせなければならない。

条文全文はe-Gov法令検索で確認

手順1 防火管理者の資格を取得する

統括防火管理者

防火管理者になるには「防火管理者講習」を受講する必要があります。事前学習は不要で、講習を受講すれば修了証が交付されます。申し込みは管轄の消防署で行えます。

講習名 日本防火・防災協会
(全国)
東京防災救急協会
(東京消防庁管内)
防火・防災管理新規講習 10,000円 7,000円※
防災管理新規講習 7,000円 3,000円
乙種防火管理講習 7,000円 2,500円
防火・防災管理再講習 7,500円 2,200円※
甲種防火管理再講習 7,000円 2,200円

※オンライン受講の場合は別途教材の配送代がかかります。

東京防災救急協会の費用は令和7年4月以降・教材費のみの金額です。東京消防庁管内(稲城市を除く)限定。教材は事前に東京防災救急協会オンラインショップで購入が必要です。

東京消防庁管内で選任される方は東京防災救急協会の利用も選択肢の一つとなります。ただ、オンライン受講の場合は別途教材の配送代がかかる点と、教材を事前に東京防災救急協会オンラインショップで購入する必要がある点に注意が必要です。どちらの講習機関を選ぶ場合も、受講前に管轄の消防署で自分が受けるべき講習の種類を確認しておくことをおすすめします。

全国どこでも申し込める 日本防火・防災協会と、 東京消防庁管内限定の 東京防災救急協会です。 費用面では東京防災救急協会の方が安い傾向がありますが、日本防火・防災協会は オンライン講習が充実しており、受講期間内であれば24時間いつでも分割して受講できます。 お住まいの地域や働き方に合わせて選んでみてください。

甲種・乙種の違い

防火管理者には甲種と乙種の2種類があります。ざっくり言うと比較的大きな建物が甲種、小さな建物が乙種です。どちらにすればよいか迷う場合は甲種を取得しておくことをおすすめします。甲種を取得しておけば乙種建物にも選任できるためです。

講習の申し込みは管轄の消防署でも行えます。東京消防庁管内の場合は各消防署・消防出張所にて受け付けています。東京以外の地域でも基本的には消防署で申し込めますが、不明な場合は管轄の消防署へお問い合わせください。

参考記事:防火管理者の選任基準【甲種・乙種 防火管理者講習について】

手順2 防火管理者選任届と消防計画を提出する

防火管理者選任届

防火管理講習が修了したら、管轄の消防署に「防火管理者選任届」を提出します。資格証を取得しただけでは防火管理者として認められません。届出をして初めて選任が完了します。

東京エリアでは電子申請による届出が可能なので講習終了後は消防署にて対面手続きまたは電子申請により選任届を提出願います。

消防法 第8条2項

防火管理者を定めたときは、遅滞なく所轄消防長または消防署長に届け出なければならない。解任したときも同様とする。

条文全文はe-Gov法令検索で確認

消防計画

消防計画は建物の形態に合わせてオリジナルに作成する必要があります。火災や地震の際に誰が何をするかをあらかじめ決めておくマニュアルのようなもので、初期消火、応急救護、避難誘導、通報連絡などを誰が行うかについてあらかじめ設定しておきます。

また、震災時を想定した「帰宅困難者対策」についても定めておきます。消防計画には備蓄品に関する項目もありBCP(事業継続計画)対策の内容と一部重複する部分もありますので、重複する資料はそのまま転用することが可能です。

消防計画は防火管理者選任届出と同時に届け出るのが良し

防火管理者選任届と消防計画はセットで届ける書類です。選任届を届出て終わりではなく、必ず消防計画も必要になります。もし防火管理者が前任から変更になった場合は、防火管理者の選解任届と消防計画の変更届が必要です。

消防計画は一度届け出て内容に変更がなければ表紙(防火管理者の変更)の差し替えを行えばOKです。

届出の控えは保管しておく

選任届と消防計画は提出後、控えを手元に保管しておいてください。この控えは以下の場面で必要になります。

防火対象物点検・防災管理点検のときは点検を実施する消防設備業者から防火管理者、消防計画の情報を求められることがあります。消防署の立ち入り検査のときは査察官からも提示を求められることがあります。

東京消防庁管内やさいたま市をはじめとする消防本部では電子申請への移行に伴い、書面で届出をする場合は正本のみの提出で完結するようになっています。ただし便宜上、副本を持参すれば押印をもらえますので、これを保管しておくと安心です。

防火管理者選任届や消防計画は防火管理維持台帳に保存することになっています。電子申請の場合はデータが残りますので、紙に打ち出してファイリングしておくとすぐに取り出せて便利です。

人事異動などで防火管理者が変わった場合は、速やかに更新届を提出し、台帳も最新の状態に差し替えておく必要があります。

まとめ

防火管理者の選任は「資格取得→選任届提出→消防計画提出」の3ステップです。資格を取得しただけでは防火管理者として認められませんので、届出まで完了して初めて選任が成立するという点を忘れないようにしてください。

消防計画は選任届とセットで届け出る書類です。一度届け出た後に防火管理者が変わった場合は、選解任届と消防計画の変更届が必要になります。内容に変更がなければ表紙の差し替えだけで対応できますので、人事異動のたびに確認するようにしてください。

防火管理者の選任届・消防計画の作成から提出まで、タイムラン防災にお任せください。行政書士事務所を併設しているため、書類作成・届出手続き・防火管理業務全般を網羅的にサポート可能です。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修・執筆者
株式会社タイムラン代表
株式会社タイムラン代表 / 消防設備士・電気工事士・行政書士
村串 大輔
2005年より消防設備業界に携わり、2011年に株式会社タイムランを設立。自ら現場に立ち、自動火災報知設備やスプリンクラー、避難器具など、電気系から消火系まであらゆる消防設備の施工を数多く手掛ける。
2023年4月にはタイムラン行政書士事務所を開設し、現場知識と法務の両面から防災をサポート。これまでに手掛けた消防関連の申請届出は3,000件以上。現場のことはお任せください。
よく読まれている記事