特小自火報を 3フロア以上で使うときの注意点

2024.03.30

特定小規模施設用自動火災報知設備を 3フロア以上で使用するときの注意点

「※この記事は2024年7月の省令改正後の設置基準情報をもとに解説しています。 改正前の条件については後半に記載しています。」

特定小規模施設用の感知器を3フロア以上で使用するためには感知器本体に内蔵するスピーカーにより「火災の発生した場所が音声で特定できる」必要があります。

火災の発生した場所が音声で特定できるとは、〇〇階で火災が発生しましたという音声情報のことです。このような感知器の仕様であれば使うことができると省令で言っています。

一方、音声で特定できない特定小規模施設用の感知器も存在しています。その感知器では「◯番で火災が発生」というような番号で火災場所を周知します。このような仕様の感知器は3階以上(3層以上)では使用することができません。

自分が把握している音声で火災場所を周知させることができる感知器は「Panasonic社の特定小規模施設用自動火災報知設備」が該当しています。こちらの製品であれば3層以上でも問題なく使用することができます。

ハ ロにより火災信号を受信した場合に、確実に火災警報を発することができるものであること。この場合において、火災の発生した警戒区域(火災の発生した区域を他の区域と区別して識別することができる最小単位の区域をいう。第四十三条第一項第一号レにおいて同じ。)を特定することができるものにあっては、その火災警報が警報音並びに火災である旨の情報及び火災の発生を感知した場所を周知する音声(音圧及び音色が、他の警報音又は騒音と明らかに区別して聞き取ることができるものに限る。)を組み合わせたものであること。

火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令及び特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令の一部を改正する省令(令和六年総務省令第七十四号)8条1項18号ハ

3フロア以上で使用できる特定小規模施設用自動火災報知設備

パナソニックの特定小規模施設用感知器
パナソニックの特定小規模施設用感知器

火災の発生を感知した場所を周知する音声を搭載した感知器は「Panasonic社の特定小規模施設用自火報」が該当します。パナソニック以外のメーカー製品も随時更新されると思いますのでご自身で購入される場合はメーカーや販売元に問い合わせていただけるとよいかと思います。

弊社はこれまで相当数を設置してきました結果、パナソニックの製品をメインに使用して検査を通しています。担当消防の方もパナソニックであれば大丈夫という認識で打ち合わせすることがあります。

【原則】通常の自動火災報知設備は

特定小規模用の火災感知器の特性と警戒区域

特定小規模施設用自火報

特定小規模施設用自火報

特定小規模施設用の自火報は何台使用しても1警戒

特定小規模用の感知器はそれぞれの感知器間で無線通信を行い、煙を検知した際に各感知器間に火災発生信号を送るとともに全ての感知器に内蔵されたスピーカーが警報を鳴らす仕組みとなっています。

また、感知器は常時相互に通信を行っているため、一つでも感知器が故障し通信が途絶えると、他の感知器がそのエラーを検知し警報を発することで、安全性を高めています。

感知器はどのメーカーの機種でも基本的に15台前後の接続が可能です。15台で使用する場合はそれぞれ無線通信ができるように機器登録設定を行います。設定では全ての感知器が同期するように1グループを作っていきます。

特定小規模施設用の感知器は複数台の無線式感知器で1つグループをつくり建物を警戒していきます。消防法令ではこの1グループを1警戒といいます。

【原則】自動火災報知設備は2フロアまで使用可能

火災受信機が作動した画像

警戒区域番号とエリア

前節では特定小規模用の無線感知器の特性について記述しました。少し話が変わって自動火災報知設備の警戒区域の原則について書いていきます。

結論を書くと原則、自動火災報知設備は1警戒あたり3フロア以上に またがることができません。これらについては消防法施行令21条2項1号が根拠となります。

自動火災報知設備の警戒区域(火災の発生した区域を他の区域と区別して識別することができる最小単位の区域をいう。次号において同じ。)は、防火対象物の二以上の階にわたらないものとすること。ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。

消防法施行令21条2項1号

この条文にでてくる警戒区域とは、警戒しているエリアを指しています。上の画像で説明すると警戒番号が左の1.2.3.4.5で、警戒区域が「1階」「2階」「3階」「9階」「10階」になります。1番警戒が1階、2番警戒が2階、3番・・・。

これが警戒区域です。消防法施行令21条2項1号の条文どおり1警戒区域が2以上にわたっていないことが確認できます。次に同条文中に「総務省令で定める場合は、この限りでない」というただし書きがあります。

総務省令で定めている消防法施行規則23条条文を記します。

令第二十一条第二項第一号ただし書の総務省令で定める場合は、自動火災報知設備の一の警戒区域の面積が五百平方メートル以下であり、かつ、当該警戒区域が防火対象物の二の階にわたる場合又は第五項(第一号及び第三号に限る。)の規定により煙感知器を設ける場合とする。

消防法施行規則23条

このただし書きは、1警戒あたりの面積が500㎡以下であることと、2階の階に渡る場合は煙感知器を設けることとされています。

条文中にある「第五項(第一号及び第三号に限る。)の規定」はここではあまり重要ではないので割愛します。

これらをまとめると次のようになります。

警戒区域まとめ

原則:1警戒あたり1フロア
例外:1警戒あたり500㎡以下で警戒できる場合は2フロアにまたがって良い
結論:3フロア以上では警戒区域を設定できない(階段、エレベーターシャフトなどを除く)

このように、自動火災報知設備は 1警戒あたり3フロア以上に またがることができません。

※参考:火災受信機の警戒区域をまとめられる要件

省令改正前は別の基準で3階以上の建物で使用できることにしていた

2024年7月の省令改正以前は 3フロア以上で使用するために 以下の細かい条件が必要でした。 現在はこれらの条件は不要です。今でもよく聞かれるのが宿泊室の扉に鍵を掛ける必要があるかどうかです。これについてはもはや考慮する必要がありません。

過去に付加されていた条件一覧を記載します。一旦これらの条件をなしにして新たに省令により新しい設置基準が設けられることになりました。

過去の基準 一戸建ての要件

1、地階を含む階数が3以下であること。
2、 延べ面積が300㎡未満であること。
3 、3階又は地階の宿泊室の床面積の合計が50㎡以下であること。
4 、全ての宿泊室の出入口扉に施錠装置が設けられていないこと。
5 、全ての宿泊室の宿泊者を一の契約により宿泊させるものであること。
6 、階段部分には、煙感知器を垂直距離7.5m以下ごとに設置すること。
7、 特定小規模施設用自動火災報知設備は156号省令第3条第2項及び第3項の規定(25号告示第2第5号を除く。)により設置すること。

過去の基準 共同住宅の場合

1、特定小規模施設であること。
2、階段室型(階段室が一のものに限る。)であること。
3、2の階段は、屋外に設けるもの又は平成14年消防庁告示第7号の基準に適合したものであること。
4、自動火災報知設備の設置を要する部分が6以上の階にわたらないこと。
5、特定小規模施設用自動火災報知設備は156号省令第3条第2項及び第3項の規定(25号告示第2第5号を除く。)により設置すること。

無線式のメリットとデメリットについて

無線式の感知器が使えるとコスト面で最大のメリットを享受することができます。しかし無線式には電波問題というデメリットがあります。

1戸建ての場合は大きな窓や室内に階段(竪穴区画)があることから電波障害的問題が起こることは稀ですが、共同住宅の場合は注意が必要です。

共同住宅は構造が鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨(S造)によって作られていることが多く、また開口部や界壁の状況により電波障害を起こす可能性があります。東京などの建物密集地域では隣接建物との距離が小さく、また周辺の状況の変化により電波の受信状況が芳しくなくなるケースが想定できます。

しかし、2025年に発売された電波中継機を使用することにより様々な構造の建物でも使用することができるようになりました。設置をお考えの方がいらっしゃいましたらお問い合わせお願いいたします。

まとめ

3フロア以上で特定小規模施設用自動火災報知設備を 使用するときは「音声で火災場所を周知させることが できる感知器」を選択する必要があります。

建物の構造や用途により適切な機器選定が異なるため、 3フロア以上への設置や電波状況が不安な方は お気軽にご相談ください。 最適なご提案をいたします。

この記事の監修・執筆者
株式会社タイムラン代表
株式会社タイムラン代表 / 消防設備士・電気工事士・行政書士
村串 大輔
2005年より消防設備業界に携わり、2011年に株式会社タイムランを設立。自ら現場に立ち、自動火災報知設備やスプリンクラー、避難器具など、電気系から消火系まであらゆる消防設備の施工を数多く手掛ける。
2023年4月にはタイムラン行政書士事務所を開設し、現場知識と法務の両面から防災をサポート。これまでに手掛けた消防関連の申請届出は3,000件以上。現場のことはお任せください。
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